研究課題
慢性甲状腺炎(橋本病)に伴う自己免疫性疾患である“橋本脳症”は免疫治療によって治癒可能な疾患である.申請者らは本症の分子診断マーカーとして患者血清中の自己抗体(抗NAE抗体)を同定している.本研究では,①生物発光を用いた免疫沈降法(LIPS法)による新規の定量的・迅速な自己抗体(抗NAE抗体)の測定法の開発,②橋本脳症の発症・臨床病型・治療効果等の臨床要素を規定する自己抗体の多様性の解明のための抗原部位(エピトープ)や新規自己抗体の検索,の2点を行う.これによって,橋本脳症の発症予知や早期診断・治療に結びつけることができる自己抗体測定システムを構築する.前年度は,NAE抗原とルシフェラーゼのキメラ蛋白を発現する融合遺伝子を哺乳類発現ベクターに挿入・構築し,生物発光が得られることを確認した.本年度(平成28年度)は、電気泳動を用いる従来の方法から抗NAE抗体の陽性・陰性が判明している血清を用いて,新規の生物発光を用いた免疫沈降法(LIPS法)を行った結果,従来法と同様の傾向が確認された.平成27年度以降に全国より橋本脳症が疑われ,抗NAE抗体測定の依頼があった患者血清が毎年300検体以上にのぼる.これらの豊富な検体を元に,抗NAE抗体の存在が既知である血清を用いて,電気泳動を用いる従来の方法と生物発光を用いるLIPS報の間での相関,特性,感度等を検証する.
2: おおむね順調に進展している
LIPS法による解析に必要なNAEとルシフェラーゼ融合蛋白を発現できる遺伝子の構築,免疫沈澱の条件設定を行った.また,電気泳動を用いる従来法によって自己抗体(抗NAE抗体)の存在する血清も必要量を得ることができた.
(今後の推進方策)LIPS法に必要な融合蛋白を発現できる遺伝子を用いた免疫沈澱の条件設定によって抗NAE抗体の迅速測定法を開発する.(次年度の研究費の使用計画)LIPS法を用いた迅速測定によりNAEの抗原エピトープを絞り込むとともに抗体の多様性を検索する.
研究が順調に遂行し,物品費(消耗品)が予定額以下に収まったため.ただし,人件費として一部を使用した.
平成29年度の研究遂行に必要な物品費(消耗品),旅費,人件費・謝金などに使用.
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (4件)
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