研究課題
概日リズムの乱れが内分泌・代謝疾患を増悪させることが明らかとなってきており、概日リズムは摂食・エネルギー代謝調節に大きく係わっている。本研究は、摂食・エネルギー代謝調節の中枢である視床下部弓状核-室傍核軸の概日リズムが摂食・エネルギー代謝制御に重要である、と仮説を立てこれを検証するものである。本年度は、当初の実験計画通りに、各種のコンデショナルノックアウトマウスを作成した。弓状核のAgRPニューロンを標的に時計遺伝子のBMALノックアウトマウスを作成し、摂食行動の概日リズムと糖代謝に関する解析を行った。室傍核を標的としたSIM1 cre/BMAL floxedマウスの解析では室傍核のNucleobindin2(NUCB2)と摂食リズムの関連が示唆され、これをもとに、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いたNUCB2 shRNA発現によるノックダウンにより、室傍核のオキシトシン発現が低下し、摂食の概日リズムが障害されることを明らかにし、論文報告を行った。また、NUCB2のfloxedマウスを用いた、コンデショナルノックアウトマウスを作成し、室傍核NUCB2の摂食・エネルギー代謝の概日リズム調節機構を解明する準備を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
ノックアウトマウスの作成に関しては問題なく行っている。作成したマウスの解析に関しても、十分に行える状況である。
種々のノックアウトマウスを作成し、摂食・エネルギー代謝の解析を引き続き行う。室傍核NUCB2およびオキシトシンニューロンの概日リズム障害と摂食・エネルギー代謝調節に関する解析を行う。NUCB2の概日リズムを解析する手法としてAAVベクターによるNUCB2promoterルシフェラーゼ発現の実験系を確立した。今後、この実験系で室傍核NUCB2発現リズム形成における、調節因子を同定する。
研究は計画通りに遂行できたが、研究成果は予想を超えるものであった。その結果、次年度以降に予想以上の研究成果の継続に次年度以降に研究費を繰り越す。
実験動物の管理維持、分子生物学的生化学的実験関連消耗品、研究成果発表(論文投稿料、学会参加)に研究費を使用する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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巻: 未定 ページ: 未定
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