概日リズムは摂食・エネルギー代謝調節に重要であり、概日リズムの乱れが内分泌・代謝疾患を増悪する事が明らかになってきている。本研究では、摂食・エネルギー代謝調節の中枢である視床下部の弓状核-室傍核軸の概日リズムによる摂食・エネルギー代謝調節機構の解明を目的とした。 これまでに室傍核Nesfatin-1ニューロンの概日リズムが、室傍核オキシトシンニューロンの活性化を介して摂食の概日リズムを調節する事と明らかにした。室傍核Nesfatin-1ニューロンの概日リズム形成は、末梢代謝情報のインスリン、レプチン、血糖に加えてFGF21が重要である事を報告してきたが、網膜からの光刺激は視交叉上核バゾプレッシンニューロンから室傍核オキシトシンニューロンへの神経回路が重要である事、さらにインスリンは直接室傍核オキシトシンニューロンを活性化する事を明らかにした。一方、時計遺伝子BMAL1のオキシトシンニューロン特異的ノックアウトマウスでは摂食リズムの障害を認めなかった。これらの結果から、室傍核オキシトシンニューロンは代謝および光情報により複合的な受動的制御を受けて摂食リズムを調節する事が示唆された。 弓状核AgRPニューロン特異的BMAL1ノックアウトマウスは摂食リズム異常を示したが、代謝リズムは正常であった。他施設からAgRPニューロンを介した代謝リズム調節の報告と相違しており、今後の検証が必要と考えられた。最終年度に研究室の異動があり、研究の完成の遅れを認めており期間後も研究を継続し完成を目指す。
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