研究実績の概要 |
本研究では、終末糖化産物(advanced glycation end-products (AGEs))の受容体(receptor for AGE (RAGE))が生理的役割としてHPA axisに関与するという仮説を提唱し、RAGEを介したグルココルチコイド分泌・作用に関しin vitro, in vivoモデル系を用いて、その機序を含めてRAGEの意義を解析する。 12週齢では野生型マウスと比較して、RAGE欠失マウスは、体重差は認めない(WT:26.2±0.35(g),RAGE-KO:26.0±0.40(g), P=0.67)ものの、副腎重量が有意に大きく(WT:4.9±0.26(mg),RAGE-KO:6.7±0.37(mg), P=0.0011)、副腎皮質細胞の腫大が認められている。また、コルチコステロンの基礎分泌量は、有意に低値(WT:217.5±19.5(μg/day),RAGE-KO:114.2±12.3(μg/day), P=0.001)であった。副腎から採取したRNAを用いてReal time PCRを施行したところ、ステロイドホルモン合成にかかわるStAR, CYP11A1, HSD3B1, POR, CYP11B1では有意差を認めなかったが、アルドステロン産生にかかわるCYP11B2でのみ、RAGE欠失群で発現が1.24倍有意に高値(P=0.03)を認めた。 免疫染色で副腎におけるRAGE発現を確認したところ、副腎皮質細胞にRAGE発現を認め、RAGEがコルチコステロンの産生・分泌に関与する可能性が高いと考えられた。 現在、Lipopolysaccharide (LPS) 負荷炎症惹起マウスモデルおよび培養副腎皮質細胞(Y1(マウス))を用いて、コルチコステロン産生・分泌に及ぼすRAGEシグナルの解明を進めているところである。
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