甲状腺濾胞のコロイド内に高濃度のサイログロブリンが蓄積することにより、甲状腺ホルモンの生合成やその材料であるヨード輸送に必要な各種遺伝子発現は強く抑制されるとともに、コロイドの再吸収、加水分解、ホルモン輸送や分泌に関わる遺伝子発現は誘導されることが明らかになった。これは、一定量の甲状腺刺激ホルモンによる制御下において、ホルモンの合成、蓄積、再吸収などの機能状態は、濾胞ごとに濾胞内サイログロブリンによる自己調節を受けていること示している。この機構が異常亢進することで甲状腺機能低下症となり、機能を喪失すると甲状腺機能亢進症となると考えられた。
|