• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

プラスミノゲン欠損症の診断・治療を目指した代替的フィブリン分解経路の分子機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09449
研究機関山形大学

研究代表者

尾崎 司  山形大学, 医学部, 助教 (60380565)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードプラスミノゲン欠乏症 / FDP / 質量分析 / モノクローナル抗体 / プロテアーゼ
研究実績の概要

1. 各種プロテアーゼによるフィブリノゲン切断断片の解析:健常者あるいは先天性プラスミノゲン (plasminogen, PLG) 欠乏症例でフィブリン分解産物 (fibrinogen/fibrin degradation products, FDP) の生成に関わっていると考えられるプラスミン、エラスターゼ、カテプシンG、プロテアーゼ3などのプロテアーゼによって精製フィブリノゲンを消化し、主要なペプチドを同定して切断部位の推定を行った。それぞれ73、146、104、180箇所の切断部位が推定された。
2. 質量分析法を用いた血漿中ペプチド断片の同定および切断部位の推定:FDPに対する特異モノクローナル抗体2種類を用いてPLG欠乏症あるいは健常人血漿中のFDPを濃縮後、解析を行った。JIF23 (プラスミンによって切断されたFDPを認識するモノクローナル抗体) で濃縮した場合、PLG欠乏症3検体から39-74箇所、健常人6検体から48-69箇所の切断部位が推定された。候補プロテアーゼの切断部位と比較したところ、PLG欠乏症検体で10%前後、健常人検体で15%前後がプラスミンの切断部位と一致していたが、大半 (70%以上) は候補プロテアーゼの切断部位と一致しなかった。IF123 (エラスターゼによって切断を受けたFDPを認識するモノクローナル抗体) で濃縮した場合、PLG欠乏症3検体から112-124箇所、健常人6検体から32-109箇所の切断部位が推定された。PLG欠乏症検体の15%前後、健常人の15-20%がプラスミンの切断部位と一致し、PLG欠乏症検体ではさらに5-10%がそれぞれカテプシンG、エラスターゼ、プロテアーゼ3による切断部位と一致した。しかし、PLG欠乏症検体で60%以上、健常人検体で約70%は候補プロテアーゼの切断部位と一致しなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 各種プロテアーゼによるフィブリノゲン切断断片の解析について;当初の計画通り候補プロテアーゼで精製フィブリノゲンを消化し、さらにトリプシン、あるいはキモトリプシンで消化したペプチドを同定することでプラスミン、エラスターゼ、カテプシンG、プロテアーゼ3による切断部位を推定することができた。
2. 質量分析法を用いた血漿中ペプチド断片の同定および切断部位の推定について;当初の計画通り、2種類の抗FDPモノクローナル抗体を用いてPLG欠乏症3検体および健常人6検体中のFDPを濃縮し、トリプシンあるいはキモトリプシンで消化したペプチドを同定した。各種候補プロテアーゼの切断部位と比較したところ、10-15%はプラスミンの切断部位と一致していたが、60-70%は候補プロテアーゼの切断部位と一致しなかった。切断部位が予想以上に不均一であったことから他のプロテアーゼや細胞種の関与も追究する必要があることが判明したので、次の段階に研究を発展させることが可能となった。

今後の研究の推進方策

候補プロテアーゼを推定し、発現量、活性の比較を行う。
1.候補プロテアーゼの選定;平成27年度に推定した切断部位からプロテアーゼを推定する。また、PLG欠乏症、あるいは健常人血漿中のタンパク質を同定し、血漿中の存在量と基質特異性から候補を絞り込む。
2.候補プロテアーゼのELISA およびWestern blot解析;当初の計画通り、1.で選定したプロテアーゼの抗体、および精製タンパク質を購入し、ELISA、Western blot解析によってPLG欠乏症および健常人血漿中の候補タンパク質を定量する。
3.候補プロテアーゼの活性比較;当初の計画通り、平成27年度に推定した切断部位、および1.で選定したプロテアーゼの基質特異性より特異的な4-methyl-coumaryl-7-amide (MCA) 蛍光ペプチド基質を選定し、PLG欠乏症と健常人血漿で活性比較する。
4.候補プロテアーゼのRT-PCR解析;当初の計画通り、1.で選定したプロテアーゼの発現をmRNAレベルで調べるためにPLG欠乏症、健常人血球からmRNAを調製し、RT-PCRを行う。

次年度使用額が生じた理由

候補タンパク質の選定のために高額の発現タンパク質 (20万円以上) が必要であったが、年度内に発注は行ったが、海外からの製品が届かなかったので次年度に持ち越しになった。

次年度使用額の使用計画

既に発注済みの発現タンパク質の購入に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 先天性プラスミノゲン欠損症例における代替的線溶経路に関与するプロテアーゼの探索2015

    • 著者名/発表者名
      尾崎 司、惣宇利 正善、一瀬 白帝
    • 学会等名
      第37回日本血栓止血学会学術集会
    • 発表場所
      甲府市総合市民会館(山梨県甲府市)
    • 年月日
      2015-05-22 – 2015-05-22
  • [図書] 新・血栓止血血管学抗凝固と線溶 8 プラスミノゲン2015

    • 著者名/発表者名
      尾崎 司
    • 総ページ数
      67-74
    • 出版者
      株式会社金芳堂

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi