研究課題
ヒト前駆B細胞性急性リンパ性白血病細胞(B cell precursor acute lymphoblastic leukemia: BCP-ALL)とヒト骨髄間葉系間質細胞(Bone marrow mesenchymal stromal/stem cell: BM-MSC)を共培養すると、BCP-ALL細胞はBM-MSCと接着する集団と接着せず浮遊する集団の2群が認められた。この培養系を応用することで、BM-MSCの影響を強く受けるBCP-ALL細胞(=BCP-ALL/adhesion)と、それ以外の細胞(=BCP-ALL/suspension)の比較検討を行った。その結果、BCP-ALL/adhesionはBCP-ALL/suspensionと比較して、抗アポトーシス分子Bcl-2の発現増強や細胞生存シグナル分子Aktの機能亢進が認められた。また、細胞周期解析を行うと、BCP-ALL/adhesionにはS/G2/M期およびG0期の割合が多いことを確認した。従って、BM-MSCに接着するBCP-ALL細胞は浮遊する細胞と比較して抗がん剤抵抗性を示す細胞集団であることが明らかになった。以上より、BM-MSCと接着し、その影響を受けるBCP-ALL細胞の抗がん剤抵抗性を明らかにし、BCP-ALL患者の治療においては、白血病細胞のみではなく、BM-MSCを治療標的とすることが妥当であることの科学的根拠を得た。
2: おおむね順調に進展している
研究は順調に進んでいる。
今年度に得られたデータをもとに、BM-MSCを標的とする薬剤が抗がん剤抵抗性のBCP-ALL細胞を減少させることをin vitroならびにin vivoで検討する。In vivoの検討はBCP-ALLモデルマウスを用いる。
研究が順調に進捗し、物品費が当初見込みより節減できたため。
次年度に計画されているコストのかかるマウスモデルを用いた研究に充当することで研究遂行を加速させる。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (3件)
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