研究課題
前年度の研究で,ヒト前駆B細胞性急性リンパ性白血病細胞(B cell precursor acute lymphoblastic leukemia: BCP-ALL)はヒト骨髄間葉系間質細胞(Bone marrow mesenchymal stromal/stem cell: BM-MSC)と接着することで,抗がん剤抵抗性が増強することを明らかにし,BCP-ALL患者の治療においては,白血病細胞のみではなく,白血病細胞の周辺環境を構成するBM-MSCが治療標的となり得ることを示した.本年度の研究では,BM-MSCに作用し,BCP-ALL細胞との接着性を減弱する薬剤の検討を行った.その結果,ボルテゾミブおよび他の2つのプロテアソーム阻害剤が有望であることを確認した.BM-MSCをこれらの薬物で刺激し,BCP-ALL細胞と共培養すると,BCP-ALL細胞との接着性が減弱した.そして,BCP-ALL細胞は,細胞周期に変化が見られ,細胞生存シグナル分子Aktのリン酸化や抗アポトーシス分子Bcl-2の発現が低下していた.従って,ボルテゾミブなどのプロテアソーム阻害剤はBM-MSCに作用することでBCP-ALL細胞との接着性を減弱させ,その結果BCP-ALL細胞の抗がん剤感受性を回復させることが明らかとなった.以上より,BCP-ALL患者の治療においては,プロテアソーム阻害剤を用いたBM-MSCを標的とする治療戦略が有効である可能性をin vitroの検証で示した.
1: 当初の計画以上に進展している
既に次年度に予定していた研究計画の一部に取り組んでいる.
今年度に得られたデータをもとに,プロテアソーム阻害剤がBCP-ALLの治療に有効であることを,BCP-ALLモデルマウスを作成し応用することで検討する.
研究が順調に進捗し,物品費が当初見込みより節減できたため
次年度に計画されているコストのかかるマウスモデルを用いた研究に充当することで研究遂行を加速させる.
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 5件、 招待講演 7件) 備考 (2件)
血液内科
巻: 73 ページ: 410-415
Translational Medicine
巻: 6 ページ: 171
10.4172/2161-1025.1000171.
みんなに役立つ造血幹細胞移植の基礎と臨床. Ⅰ基礎編 第14章. 改訂3版
巻: 3 ページ: 152-161
Rheumatology
巻: 55 ページ: 1686-1692
10.1093/rheumatology/kew233.
https://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/rI5bL
http://ganshien.umin.jp/research/main/maekawa/05.html