研究課題
前年度の研究では,ヒト骨髄間葉系間質細胞(骨髄間葉系幹細胞,Bone marrow mesenchymal stromal/stem cell: BM-MSC)に作用し,ヒト前駆B細胞性急性リンパ性白血病細胞(B cell precursor acute lymphoblastic leukemia: BCP-ALL)との接着性を減弱する薬剤としてボルテゾミブおよび他のプロテアソーム阻害剤を同定した.その結果,ヒトBCP-ALL細胞は抗がん剤感受性を回復することをin vitroの実験で明らかにした.本年度の研究では,上述のボルテゾミブによる効果をin vivoの実験で検証した.ヒトBCP-ALL細胞を免疫不全マウスに移植することで,前駆B細胞性急性リンパ性白血病の異種移植モデルマウスを作成した.このマウスの生存期間は治療薬を投与しない群(無治療群)では中央値35日であった.一方,治療薬を投与した群の生存期間中央値は,ボルテゾミブ投与群で39日,ボルテゾミブ+ドキソルビシン併用投与群で57.5日であり,生存期間の延長効果が認められた.骨髄内のBCP-ALL細胞はボルテゾミブ+ドキソルビシン併用投与群で顕著に減少していた.本研究課題では,ヒトBM-MSCと接着することでその影響を強く受けるヒトBCP-ALL細胞は,それ以外の細胞と比較して抗がん剤抵抗性を示す細胞集団であること,ボルテゾミブおよび他のプロテアソーム阻害剤が細胞の接着性を減弱し,その結果BCP-ALL細胞の抗がん剤感受性を回復すること,BCP-ALLモデルマウスにおいてボルテゾミブ単独または既存の白血病治療薬との併用がマウスの生存期間を延長させることを示した.
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Int J Hematol.
巻: 105 ページ: 587~597
10.1007/s12185-016-2169-x
J Clin Exp Hematopathol.
巻: 57 ページ: 1~8
10.3960/jslrt.16019.
Inflamm Regen.
巻: 37 ページ: 19
10.1186/s41232-017-0049-2.
Stem Cells.
巻: 36 ページ: 434~445
10.1002/stem.2759
Clin Calcium.
巻: 27 ページ: 851~856
巻: 37 ページ: 7
10.1186/s41232-017-0038-5
https://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/rI5bL
http://ganshien.umin.jp/research/main/maekawa/05.html