多発性骨髄腫の進展において,骨髄内で骨髄腫細胞が間葉系幹細胞(BMMSCs)と密接にクロストークすることが重要であることが知られていた。研究代表者(兼平)は,BMMSCsがリゾホスファチジン酸(LPA)と呼ばれる脂質メディエーターからの刺激により,その表現型を劇的に変化させること,そして,LPA受容体サブタイプ1(LPA1)と3(LPA3)のシグナルが,BMMSCsの細胞老化をそれぞれ正と負に調節することで、骨髄腫細胞増殖をそれぞれ負と正にレギュレートすることを見出した。本研究は,これまでに知られていた,多発性骨髄腫の発症率・重篤度が加齢ともに上昇するという現象に明確な根拠を与えたものである。
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