研究課題
研究期間全体で行った研究は以下の通りである。フィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)のpatient derived xenograft (PDX)モデルから得られる腫瘍細胞(PDX細胞)を用いたハイスループットスクリーニングシステムを構築し(PDXスクリーニング)、スクリーニングを実施することで、細胞株では弱い殺細胞効果しか示さないが、PDX細胞に対し強い抗腫瘍効果を示す薬剤としてverteporfinを選別し、その作用機序としてreactive oxygen speciesの産生が重要であることを同定した。さらにこの薬剤がPh陽性ALLの標準的治療薬であるdasatinibと協調的に作用して抗腫瘍効果を示すことを発見し、その効果をマウスモデルでも確認した。さらに同じ患者細胞から樹立されたPDX細胞と細胞株を用いて薬剤スクリーニングを行い、それぞれの細胞に殺細胞効果を示す薬剤の作用機序比較することで、PDX細胞には細胞株では失われた酸化ストレス感受性が維持されており、酸化ストレスによる殺細胞効果を持つ薬剤をスクリーニングするのに有用であることを明らかにした。さらに予後不良の悪性リンパ腫であるprimary effusion lymphoma (PEL)のPDXを作成し、PEL PDX細胞を用いたPDXスクリーニングを行った。その結果、survivin阻害薬として開発中のYM155がPEL細胞に対し強い抗腫瘍効果を示すことを発見した。YM155の作用機序を分子生物学的に検討し、survivinの阻害ではなく、抗アポトーシスタンパクであるMCLのリン酸化とデグラデーションを誘導することが作用機序であることを明らかにした。これらの結果を論文にまとめ、海外雑誌に投稿し採択された。今年度は上記の中でPEL PDXモデルによる薬剤スクリーニングを行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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