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2015 年度 実施状況報告書

成人T細胞性白血病・リンパ腫における遺伝子変異の解析とその意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09479
研究機関宮崎大学

研究代表者

久冨木 庸子  宮崎大学, 医学部, 講師 (00284836)

研究分担者 北中 明  宮崎大学, 医学部, 准教授 (70343308)
下田 和哉  宮崎大学, 医学部, 教授 (90311844)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード成人T細胞性白血病・リンパ腫 / 遺伝子変異
研究実績の概要

成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATLL)に対する化学療法の効果は限定的であり、治癒を得ることは極めて困難である。治療成績向上のためには疾患の本態とその進行・増悪過程に関する遺伝子レベルでの解明が必須である。本研究では、ATLL細胞に認められる遺伝子変異の解明を行った。ATLL症例を対象に全エクソン解析・全ゲノム解析・標的シーケンスによる変異解析、SNPアレイによるコピー数解析、RNAシーケンスによる融合遺伝子の検出、メチル化アレイによるエピジェネッティクス解析などを組み合わせた網羅的解析を実施し、ATLL細胞に認められる遺伝子異常の完全なレジストリの作成を完遂した。その結果、ATLLでは計50個の遺伝子で有意に変異が認められ、そのうち13個の遺伝子が10%以上の症例に変異を認めることを明らかとした。これらの遺伝子変異の中にATLL発症に重要なドライバー変異が含まれていると考えられる。13個の遺伝子のうちTET2は近年の研究で骨髄系腫瘍に変異が頻発することが見いだされており、造血器腫瘍の発症メカニズムに強く関与するとして注目されている。また、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫におけるTET2変異の存在も報告されている。そこで、前述の網羅的解析に用いた患者集団と別のATLL患者コホートを対象として、TET2変異の有無の解析を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、TET2変異に着目し、前述の網羅的解析に用いた患者集団と別のATLL患者コホートを対象としてTET2変異の有無を解析した。22例のATLL検体を解析したところ、3例(14%)にミスセンス変異を同定した。この頻度は前述の大規模解析とほぼ同等であり、TET2変異が一定の割合のATLL症例について、その発症に関与していることが示された。

今後の研究の推進方策

研究は概ね順調に進展している。H27年度までに行った遺伝子解析によってATLLにおける網羅的な遺伝子変異カタログが作成できた。ATLLでは計50個の遺伝子で有意に変異が認められ、そのうち13個の遺伝子が10%以上の症例に変異を認めることが明らかとなり、この中にATLLの発症、病態の形成に重要な遺伝子変異が含まれていると考えられる。今後は、これまでに集積した臨床検体を用いて、さらなる詳細解析を実施する。
ATLLにおける遺伝子異常は、T細胞受容体シグナリング/NF-κB経路に集積しており、全症例の90%以上にこの経路に関与する遺伝子異常を認め、ATLLの病態において中心的な役割を果たすと考えられたことから、その経路に関わる遺伝子変異の機能解析を、in vitro、in vivoモデルを用いて行い、ATLLの発症ならびに病態形成のメカニズム解明を試みる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] TET2 Mutation in Adult T-Cell Leukemia/Lymphoma.2015

    • 著者名/発表者名
      Shimoda K, Shide K, Kameda T, Hidaka T, Kubuki Y, Kamiunten A, Sekine M, Akizuki K, Shimoda H, Yamaji T, Nakamura K, Abe H, Miike T, Iwakiri H, Tahara Y, Sueta M, Yamamoto S, Hasuike S, Nagata K, Kitanaka A
    • 雑誌名

      J Clin Exp Hematop.

      巻: 55 ページ: 145-149

    • DOI

      10.3960/jslrt.55.145.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Gene expression profiling of loss of TET2 and/or JAK2V617F mutant hematopoietic stem cells from mouse models of myeloproliferative neoplasms.2015

    • 著者名/発表者名
      Kameda T, Shide K, Yamaji T, Kamiunten A, Sekine M, Hidaka T, Kubuki Y, Sashida G, Aoyama K, Yoshimitsu M, Abe H, Miike T, Iwakiri H, Tahara Y, Yamamoto S, Hasuike S, Nagata K, Iwama A, Kitanaka A, Shimoda K
    • 雑誌名

      Genom Data.

      巻: 4 ページ: 102-108

    • DOI

      10.1016/j.gdata.2015.04.002.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Integrated molecular analysis of adult T cell leukemia/lymphoma.2015

    • 著者名/発表者名
      Kataoka K, Nagata Y, Kitanaka A, Shiraishi Y, Shimamura T, Yasunaga J, Totoki Y, Chiba K, Sato-Otsubo A, et al.
    • 雑誌名

      Nat Genet.

      巻: 47 ページ: 1304-1315

    • DOI

      10.1038/ng.3415.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Loss of TET2 has dual roles in murine myeloproliferative neoplasms: disease sustainer and disease accelerator.2015

    • 著者名/発表者名
      Kameda T, Shide K, Yamaji T, Kamiunten A, Sekine M, Taniguchi Y, Hidaka T, Kubuki Y, Shimoda H, Marutsuka K, Sashida G, Aoyama K, Yoshimitsu M, Harada T, Abe H, Miike T, Iwakiri H, Tahara Y, Sueta M, Yamamoto S, Hasuike S, Nagata K, Iwama A, Kitanaka A, Shimoda K
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 125 ページ: 304-315

    • DOI

      10.1182/blood-2014-04-555508.

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2017-01-06  

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