研究課題/領域番号 |
15K09482
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
小船 雅義 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (90336389)
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研究分担者 |
佐藤 勉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40404602) [辞退]
堀口 拓人 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (70634674) [辞退]
高田 弘一 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90398321)
村瀬 和幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90444918)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PCBP1 / エキソソーム / マイクロRNA / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
昨年度までの研究により骨髄異形成症候群(MDS)/白血病(AML)細胞から、AMLから多量のエクソソームが分泌され、その内容としてmiR-4286、miR-8073およびmiR-7977が高濃度に内包化されることを明らかとしてきた。なかでも、miR-7977は、MDSからAMLに病状が進行するにつれて、骨髄間質液中の濃度が増加することから、その標的分子の同定を試みた。まず、miRDBを用いることでバイオインフォマティクスの手法で予測される標的分子をスクリーニングした。その結果、poly(rC) binding protein 1(PCBP1)というメッセンジャーRNA(mRNA)の安定化因子およびserine/threonine kinase 4(STK4)という細胞の過剰増殖を抑える因子が選択された。PCBP1は幾つかの癌腫の腫瘍幹細胞の形成に不可欠であることが報告され、サイトカインおよび接着分子の発現増加に関与している。このため、PCBP1 mRNAにmiR-7977の結合配列の有無をスクリーニングした。その結果、5´端および3´端にそれぞれ1カ所づつ、合計2カ所の結合可能配列の存在が確認された。そこで、間葉系幹細胞にmiR-7977を導入した後に、PCBPの発現レベルを解析したところ、mRNAおよびタンパク質ともに発現低下が惹起されることが示された。さらに、PCBP1の3´端をプロテクトするtarget protectorを用いて解析した結果、miR-7977は同部位に結合することが明らかとなった。PCBP1により発現が増加しているサイトカインおよび接着分子をスクリーニングした結果、ANGPT1、SCF、JAG1がPCBP1の制御を受け、miR-7977が作用すると発現低下が惹起されることが明らかとされた。さらに、miR-7977導入間葉系幹細胞はCD34+CD38-細胞分画に対する造血支持能が著しく低下することが明らかとされた。これらの結果からAML細胞から分泌されるmiR-7977は、近接したニッチ細胞の正常造血機能を破綻させることが明らかとされた。
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