研究課題
骨髄増殖性腫瘍の中で予後の悪い骨髄線維症のほぼ全例でクロマチン制御因子のHMGA2が高発現するのに対し,他のタイプでは約30%に高発現する。正常造血では,let-7群のマイクロRNAとmRNAの結合とポリコーム群蛋白によるヒストンメチル化調節の両者によりHMGA2の発現は抑制されている。我々は約20例について検討を行い,HMGA2を高発現する症例の多くでlet-7低下かポリコーム関連遺伝子(EZH2,ASXL1など)変異のいずれかが認められる傾向を確認した。EZH2とASXL1の変異はともに予後不良の予測因子として知られているため、今後let-7とHMGA2の発現量の相関がMPNの予後およびポリコーム関連遺伝子の出現を予見するマーカーとなる可能性を検討する。また、HMGA2とJAK2V617Fの両者を導入されたマウスでは重篤な骨髄線維症を起こすことも判明した。これらの成果は米国血液学会において口演として発表した。今後論文化を目指す。
2: おおむね順調に進展している
骨髄増殖性腫瘍で見られる予後不良遺伝子の変異の下流と思われるHMGA2が実際に病態や予後に関与する可能性が明らかになった。この成果は米国血液学会において口演で発表することができた。
論文化を目指し、症例の検体のさらなる集積と検討を追加する。JAK2V617FにEZH2のノックダウンを加えたマウスによる検討を行い、内因性のHMGA2増加の有無や造血に及ぼす影響を確認する。
消耗品の使用金額が予想と異なっていたため
抗体の購入等を予定している
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
臨床血液
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10.11406/rinketsu.57.156.
Biological Research
巻: 48 ページ: 41
10.1186/s40659-015-0033-8