研究課題
骨髄増殖性腫瘍の真性多血症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症症例における末梢血白血球検体をこれまで100例以上集積し、遺伝子発現や変異の解析を進めている。これまでに、HMGA2過剰発現は骨髄線維症症例で高頻度に認められること、HMGA2発現は本態性血小板血症においてはほぼマイクロRNAのlet-7低下によるが、原発性骨髄線維症においてはマイクロRNA低下によるもの、ポリコーム抑制複合体構成因子の変異によるもの、その他に分類されることが示唆されつつある。一方、JAK2V617F-Tg/EZH2-KOマウスとJAK2V617F-Tg/HMGA2-Tgマウスの解析を行い、これらの造血幹細胞レベルにおける分子基盤が類似していること、JAK2V617F-Tg/EZH2-KOマウスでHMGA2を抑制することで骨髄増殖性腫瘍の重症化が抑制できる可能性があることを示した。これらのデータは国際学会で発表するとともに論文投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
上記の通り、解析はほぼ予定どおり進行しており、成果も国際学会における口演を含め、複数の学会において発表されている。また、論文も最も主要なものは米国血液学会雑誌 (Blood Advances) にminor revisionになっているほか、既に複数の論文発表が行われている。
症例については、さらに追加して検討を進める。特に真性多血症症例については未発表の部分が残されており、症例の集積を行う。具体的には、真性多血症30症例についてHMGA2 mRNA発現量の測定と次世代シークエンサーによる遺伝子変異解析を行う。マウスモデルについては、造血幹細胞や赤芽球計前駆細胞における遺伝子発現パターンが判明したため、亢進している経路を抑制することで病勢の進行を抑制できるか、といった点を中心に検討を進める。
試薬購入を工夫するなどして、支出を抑制できた。
次年度予算が計画上少なかったため、次年度において利用できるメリットは大きい。具体的には真性多血症症例の遺伝子発現解析ならびに網羅的な遺伝子変異解析を行う。また、マウス造血の解析を追加する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)
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