研究課題
平成27年度は、マウス同種移植モデルを用いてTNFRSF25-agonistic抗体を用いた急性GVHDにおけるTNFRSF25シグナルの役割に重点をおいて研究を行った。①ドナーマウスにTNFRSF25抗体を投与した後、T細胞を脾臓・リンパ節・末梢血より採取すると、CD4+Foxp3+制御性T細胞の頻度が有意に上昇した。②Muticolor FACS及びCyTOFでTNFRSF25抗体刺激後のT細胞及び他の免疫細胞を解析すると、CD4+Foxp3+CD44+CD62L+Ki67+のCentral Memory typeの制御性T細胞が有意に増加しており、他のT細胞プールをはじめとした免疫細胞への変化は少なかった③TNFRSF25抗体により刺激したドナーT細胞をT細胞除去骨髄(TCD-BM)を同時に致死量放射線照射後のMHC不一致マウスへ投与した所、抗体非投与群は急性GVHDを発症し死亡したが、抗体投与群ではドナーT細胞の増殖抑制、炎症性サイトカインの産生抑制、腸管・肝臓へのドナーT細胞の浸潤抑制が認められ、急性GVHDの発症が抑制された④マウスB細胞腫瘍であるA20細胞をマウスに投与した担癌マウスを用いて、③と同様に骨髄移植を行った所、抗体投与群では急性GVHDの発症がよく際される一方、A20細胞は消失した。すなわちTNFRSF25抗体刺激後のT細胞はGVT(Graft versus Tumor)効果を担保しつつ、GVHDを抑制できる事が明らかとなった。
3: やや遅れている
患者検体の解析については進行できていない。CYTOFについては10-15 color FACSと比較し解像度が劣る傾向にあるため、現在はマウスによる解析で再現性を取る事を優先している。マウスのモデルに関しては興味深いデータが出ており、モニタリングとしての研究のみならず、治療モデルとしての提案も検討している。
15colorによるFACSデータを網羅的に解析するシステムについては、安定した結果が得られておりこれらの経時的観察をまず優先する。ヒト検体を用いた解析については臨床データベースとFACSデータを収集中である。マウス治療モデルに関しては、前年度と異なる実験モデルも検討しており、TNFRSF25シグナルの急性GVHD発症における役割を更に明らかにする予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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