好中球の新たな細胞外殺菌機構として知られる好中球細胞外トラップ(Neutrophil Extracellular Traps, NETs)は感染防御に寄与する一方、細胞外へ放出した組織傷害性の強いヒストンや抗菌蛋白により、種々の免疫・炎症・血栓性疾患の病態形成に関与することが報告されている。本研究では、病態生理が十分に明らかでないIgG4関連疾患の一型である自己免疫性膵炎や、スフィンゴ脂質代謝の異常により母児間の免疫寛容が破綻したため発症する習慣性流産を対象として研究をおこない、その病態形成においてNETsが極めて重要な役割を果たすことを明らかにした。
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