研究課題/領域番号 |
15K09512
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
赤塚 美樹 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70333391)
|
研究分担者 |
葛島 清隆 愛知県がんセンター(研究所), その他部局等, 部長 (30311442)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 再生不良性貧血 / 細胞傷害性T細胞 / 抗原遺伝子 |
研究実績の概要 |
昨年度に慢性骨髄性白血病から再生不良性貧血(AA)を続発した患者より樹立した細胞傷害性T細胞(CTL)が認識する遺伝子候補として同定されたOS9についてエピトープのマッピングを実施した。OS9のORFは1797bpで、開始コドンから221bpを最短とし、約200bpずつ長さを延ばしたOS9のミニ遺伝子を合計9種類作成し、COS/HLA-B*40:02に遺伝子導入、CTLと共培養しインターフェロン(IFNg)の測定を行ったところミニ遺伝子導入細胞が全て認識され、エピトープは最初の221bp内にあると推定された。HLA-B*40:02への結合ペプチドを予測するアルゴリズムでは開始コドンから11-merの配列が最上位にランク付けされ、このミニ遺伝子を作成しアッセイをしたところIFNg産生が確認された。この合成ペプチドも認識され、エピトープと決定した。OS9はERに局在し、骨髄球への分化に関わるとの報告があり、今回の病態への関与を検討している。 研究当初に検討を予定していた重症AA患者由来のCTLクローン(A6-CTL)は増殖不良の問題があった。そこでCTLよりTCRα/β遺伝子をクローン化しTCR-β鎖欠損Jurkat細胞株に導入し、完全なTCRとして発現させることができた。この細胞株に活性化時IFNgを産生するコンストラクトを導入すると、A6の標的抗原陽性であるK562/HLA-B*40:02と反応し、A6-CTLとは1-log少ないもののIFNgを産生した。これを使い約8 万クローンのライブラリをスクリーニングしたが明らかな陽性が無くIFNg産生が弱い可能性が考えられたため、健常人の末梢血T細胞にTCRを導入しスクリーニングを反復したが陽性がなかった。ライブラリの平均長が長くなく、完全長のcDNAが取れていないリスクを鑑み、現在ライブラリの再構築を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前回の遅延理由であるA6-CTLの増殖不良問題は、TCR導入人工T細胞で解決出来た。しかしながら反復実験の結果、cDNAライブラリのプールサイズもしくは完全長ライブラリとしてのクオリティが不十分であったと考えられた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究方針について当初からの大きな変更はない。慢性骨髄性白血病から再生不良性貧血を続発した患者より樹立したCTLでは標的となる遺伝子・エピトープの同定を達成出来ているので、現在作成中のより平均長の長いcDNAライブラリが完成次第、スクリーニングに移行する。 エピトープが同定され機能的にも再生不良性貧血発症のCTL抗原遺伝子と示されれば、NOGマウスを用いたin vivoでのモデル実験を実施し確認を取る。なお、HLA-B*40:02陽性の新たな患者は本年度も見いだされず、新たなCTLクローンを樹立する案件は達成が困難となる可能性がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ペプチド合成の量が予定より減ったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
最終年度にペプチド合成を複数行うために使用する予定である。
|