研究課題
Rasを活性化するグアニン交換因子の一種であるRasGRP4は当初マスト細胞でクローニングされたが、その後我々が単球での発現を(Hashimoto and Yasuda et al, Arthritis Res Ther 2011)、他のグループが好中球での発現を報告した。我々は、RA患者の線維芽細胞様滑膜細胞 (FLS) にRasGRP4が高発現し、その増殖を促進することを明らかにした (Kono and Yasuda et al, Arthritis Rheumatol 2015)。TNFα刺激によってRasGRP4の発現が亢進することから、本研究では、サイトカイン刺激がRasGRP4の下流シグナル分子を活性化する経路について明らかにし、RasGRP4-Ras-MAPK経路をターゲットとした治療の可能性を検討した。RA患者由来FLSはサイトカインの非存在下で継代を重ねるとRasGRP4の発現は低下するが、継代を経たRA-FLSにTNF刺激あるいはRasGRP4発現ベクターを移入することでRasGRP4の下流シグナルの活性化を検討した。その結果、FLSにおけるRasGRP4強制発現によるErk, P38MAPKのリン酸化が示された。さらに、PCNAアッセイで測定したFLSの増殖能も上昇した。また、Rasの細胞膜への局在を阻害するファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤 (FTI) によるFLS増殖抑制の可能性を検討した。FTIとしては、白血病をはじめ多くの治験がなされているtipifarnibを用いた。tipifarnibによるFLS増殖抑制効果をin vitroで検討し、増殖抑制能が示された (Shimamura & Yasuda, 東アジアリウマチ学会 2017)。RA患者の関節形成手術検体 (N = 3) より得られた滑膜組織におけるRasGRP4, リン酸化MAPK (Erk, p38MAPK, JNK) の局在を免疫染色にて検討した。概ねp38MAPK, JNKはリン酸化されていたがErkリン酸化には一定の傾向はみられず、検体数が少ないこと、様々な治療を受けていることによる影響が考えられた。今後は検体数を増やして検討を行うことが必要である。
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