研究課題/領域番号 |
15K09515
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤井 博司 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30531321)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 全身性エリテマトーデス / 形質芽細胞 / B細胞 / 自己抗体 |
研究実績の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)は抗2本鎖DNA抗体に代表される自己抗体介在性に引き起こされる全身の炎症性疾患である。これらの病原性抗体は主に骨髄に存在する形質細胞により産生されている。末梢のリンパ組織で活性化されたB細胞は、形質芽細胞として血中を移動し骨髄にホーミングする。その後長期にわたって抗体を産生しうる形質細胞へと分化する。その各々の分化と活性化段階において、種々のサイトカインによる刺激や転写因子の発現が重要であるが、その各々の分子や経路がSLEにおける治療標的となりうる。形質芽細胞は抗体産生能と細胞分裂能を有しており、その前駆細胞であるB細胞や次の分化段階である形質細胞とは遺伝子発現と比較して特有であると考えられる。申請者はSLE患者の末梢血において形質芽細胞であるD20+CD27+CD43+CD19+ B細胞が増加していることに着目した。健常人とSLE患者末梢血よりこれらの形質芽細胞、ナイーブB細胞、メモリーB細胞を分離し、その遺伝子発現プロファイルをマイクロアレイで解析、比較することにより、B細胞から形質芽細胞への分化段階におけるより効果的な治療標的とSLE患者形質芽細胞に特異的に発現されている分子の探索を行う。また、このように同定された分子をSLEにおける新たな治療標的分子の候補として、ループスモデルマウスにこれらの分子を標的とする薬剤を投与することによりその治療効果判定を行い、SLEにおける新たな治療法の開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SLE患者4名、健常人4名の末梢血より形質芽細胞/ナイーブB細胞/メモリーB細胞を分離し、その遺伝子発現プロファイルを比較した。形質芽細胞への分化に重要な転写因子の候補、SLE由来形質芽細胞に特異的に多く発現されている膜蛋白分子を抽出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現プロファイルの比較で抽出できた転写因子の、B細胞→形質芽細胞への分化における役割をin vitroでのB細胞分化系を用いて解析する。 SLE形質芽細胞特異的な細胞表面分子の候補の発現をフローサイトメトリーで解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の納品の遅延によって生じたものである
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次年度使用額の使用計画 |
物品納品に必要な経費として平成28年度請求額と合わせて使用する予定である
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