研究課題
本研究は健常人、SLE患者の形質芽細胞、ナイーブB細胞、メモリーB細胞の遺伝子発現プロファイルを比較することにより、SLEに特有の分子の発現、活性化されているパスウェイの抽出を行い、SLEに対する新たな治療法の開発を目指すものである。前年度までに、上記の遺伝子発現プロファイルの解析を終えており、SLE患者由来の形質芽細胞、ナイーブB細胞、メモリーB細胞の各細胞分画において、健常人に比べて①I型インターフェロン(IFN)誘導遺伝子群の有意な上昇、②細胞分裂関連遺伝子群の有意な上昇を認めた。これらの知見を基に、1. I型IFNのB細胞の活性化における役割、2. I型IFNに誘導される膜表面分子のB細胞表面の発現、についての解析を行った。1. 分離したB細胞をIFNα添加あるいは未添加の条件で24時間培養し、その後、抗IgG/M抗体、CpG、IL2, IL-21で刺激した。IFNαでプライミングすることにより、刺激後に引き続いて起こるB細胞の分裂回数が有意に増加することが示された。このことはIFN誘導性の遺伝子がB細胞刺激の閾値を調節している可能性があり、SLEにおけるI型IFNの病的意義の機序の一つである可能性がある。2. IFITM1(interferon induced transmembrane 1)はI型IFNにより誘導される遺伝子であり、CD19分子に会合する膜蛋白をコードしていることが報告されている。抗IFITM1抗体を用いてSLE患者の末梢血B細胞におけるIFITM1の発現解析を行ったところ、一部のSLE患者において、1-2%のB細胞表面にIFITM1の発現が認められた。このことは、IFITM1がIFNで刺激を受けている細胞を同定するためのマーカーとなりうる可能性がある。
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