研究課題
T、B細胞のケモタキシス、線維化誘導に関わるケモカインであるCCL18とその受容体であるCCR8の、IgG4関連疾患(IgG4-RD)の病変局所における発現・発現細胞、病態形成における機能、治療標的の可能性を明らかにすることを目的に、以下の解析を行った。1)IgG4-RD(N=3)、シェーグレン症候群(SS)(N=4)、健常人(HC)(N=5)の間で、LSGにおけるCCL18のタンパクレベルでの発現および発現細胞を免疫蛍光染色(IF)で比較した。SS・HCと比較して、IgG4-RDのLSGではCCL18の高発現を認め、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、形質細胞におけるCCL18陽性細胞数は同等であった。IgG4-RDのLSGでは、SS・HCと比較してCCL18陽性マクロファージ・樹状細胞・形質細胞、HCと比較してCCL18陽性B細胞は有意に増加していた。2)IgG4-RD(N=3)、SS(N=4)、HC(N=5)の間で、LSGにおけるCCR8のタンパクレベルでの発現および発現細胞をIFで比較した。IgG4-RDとSSのLSGではともにCCR8が発現していたが、HCのLSGではCCR8の発現は認めなかった。IgG4-RDのLSGにおけるCCR8陽性T・B・形質細胞数は、HCと比較して有意に増加していたが、SSと同等だった。3)HCの末梢血CD19陽性B細胞を、CD40L+IL-4±IL-10±IL-21刺激下で8日間in vitroで培養し、上清中のIgG4濃度をCBAで測定した。CD40L+IL-4刺激と比較して、CD40L+IL-4+IL-10+IL-21刺激では、IgG4産生が有意に増加し、CCL18添加でさらに増加した。以上の結果から、IgG4-RDのLSGにおけるCCL18-CCR8経路のタンパクレベルでの発現亢進が認められ、新規治療標的分子となり得ると考えられた。
すべて 2017
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日本臨床リウマチ学会雑誌
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