研究課題/領域番号 |
15K09522
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小澤 龍彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10432105)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / ACAP / CCP / シトルリン化タンパク質 / モノクローナル抗体 |
研究実績の概要 |
天然アミノ酸であるシトルリンを含む環状ペプチド(cyclic citrullinated peptide; CCP)に対する抗体(anti-citrullinated protein antibodies; ACPA) は、関節リウマチ(RA)患者に特異的に出現する自己抗体である。その自己抗原を同定することでACPAの誘導メカニズムやRAとの病態を考察する研究が進められている。本研究では、我々が単離したシトルリン化ペプチドcfc1-cyc と結合するRA患者由来モノクローナルACPA(CCP-Ab1)を用いて、その抗原の同定を進めた。 平成27年度は、細菌、ウイルスなどの外来抗原のタンパク質をCCP-Ab1がエピトープとするアミノ酸配列を用いて相同性検索により、3,000種類以上の候補タンパク質を同定した。これらタンパク質の幾つかをin vitroで合成してウエスタンにより結合性を確認したところ、いずれもシトルリン化処理特異的に結合する事が示された。またCCP-Ab1と結合する生体内のネイティブタンパク質を同定するために、血漿をBlue Native PAGEにより分離し、ウエスタンを行った結果、高分子量領域において結合するタンパク質が確認された。CCP-Ab1と抗原であるcfc1-cycとの結合様式をX線結晶構造解析にて明らかにするために、CCP-Ab1のFab化抗体の大量調整を行っている。またin vivoモデルを構築するため、抗体の大量調整を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は平成28年度までにと予定していたCCP-Ab1 と結合する細菌、ウイルス、植物タンパク質の同定は順調に進み、予定を前倒しして行い、複数のタンパク質を同定するに至った。 CCP-Ab1 と結合する生体内のネイティブなタンパク質の同定は予定通り進み、血漿中に存在するネイティブなタンパク質とCCP-Ab1が結合することが示された。X線結晶構造解析に必要なFab化タンパク質、及びマウスに投与するための調整に手間取っているが、安定発現株を樹立する事で高発現ができる予備的結果が得られた。 平成27年度中に、平成28年度以降で予定している実験の基盤を構築する予定としていたが、その基盤が概ねできたことから達成度を、おおむね順調に進展している、とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までに、CCP-Ab1と結合するネイティブタンパク質の存在が確認されたため、このタンパク質の同定を行う。具体的には血漿をゲル濾過、アフィニティー精製、二次元電気泳動などで目的タンパク質を分離し、質量分析により候補を絞り込む。その後候補のリコンビナントタンパク質を作成もしくは入手し、CCP-Ab1と確かに結合するかを検証する。 X線結晶構造解析に必要なFab化抗体は10mg以上と非常に多い。またマウスに投与するCCP-Ab1の必要量も数mg以上と多い。現状CCP-Ab1の産生は一過性の発現系を用いているが、産生量が低くこの系では費用がかさむため、CCP-Ab1を産生する安定発現株の樹立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に予定していた実験が順調に進んだため、予定していた額よりも少なく済ませることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には抗体の大量調整を予定しており、これに多くの費用が必要と想定している。そのため平成27年度からの繰越金を、この抗体の大量調整に充てる事を予定している。
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