研究課題
(1)BeffにおけるRANKLとOPG発現:H27年度の研究からヒトswitched-memory (Sw-m) B細胞がRANKLを主に発現することが判明したが、B細胞はRANKL-RANK結合を阻害するosteoprotegerin (OPG)も発現しうる。よって、RANKL/OPG発現のバランスが破骨細胞の分化・活性化に重要といえる。抗原受容体(BCR)/CD40による共刺激下でSw-mB細胞はRANKLに加えてOPGを発現するが、IFNγが併存するとRANKL発現増加と逆にOPG発現は著明に低下し、RANKL/OPG比が上昇することで破骨細胞の分化・活性化に傾くことが判明した。一方、RANKL発現を抑制するBCR/CD40/IL-21刺激下ではOPG発現も低下するが、形質細胞分化に重要な転写因子Blimp-1発現は著明に増加することが判明した。(2)関節リウマチ(RA)患者滑液B細胞におけるRANKL発現:RA患者滑液においては末梢血に比べてCD80+CD86+ならびにCXCR3+B細胞が多く存在し、これらの分画ではRANKL発現が高いことをフローサイトメトリーで確認した。さらに、このRANKL発現が高いサブセットはSw-mBとdouble-negative (DN)B細胞であることも判明した。(3)Breg誘導の分子機構:非B細胞のIL-10産生に関与する種々の転写因子について、ヒトBreg誘導での関与について検討を行った。まずは、BCR/TLR9刺激によるIL-10発現とパラレルな発現パターンを示す転写因子に絞り込んだ後、これらの各転写因子についてsiRNAによるノックダウンを行うことで評価を行った。その結果、B細胞の形質細胞分化に関与するIRF-4とBlimp-1が候補として残り、この中でもBlimp-1がBreg誘導に最も関与していることが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
抗体非依存性に機能しうるRANKL産生Beffの特徴ならびにRA患者滑液に存在することを証明できた。加えて、Breg誘導の分子メカニズム(転写因子)についても明らかにできた。以上より、本研究の達成度としてはおおむね順調に進展しているといえる。
RANKL産生Beffの破骨細胞の分化・活性化への効果やRAにおけるBreg機能の質的変化についても研究計画を進める。
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