研究課題/領域番号 |
15K09529
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
小野 伸之 佐賀大学, 医学部, 助教 (00336025)
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研究分担者 |
原 博満 鹿児島大学, 医学部, 教授 (20392079)
小荒田 秀一 佐賀大学, 医学部, 講師 (50304887)
多田 芳史 佐賀大学, 医学部, 准教授 (70284627)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管炎 / ANCA関連血管炎 / 多発血管炎性肉芽腫症 / MPO-ANCA |
研究実績の概要 |
多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with polyangitis,以下 GPA)は上気道から始まり、肺腫瘤 性病変、腎糸球体腎炎を引き起こす肉芽腫性血管炎である。自己抗体である抗好中球細胞質抗体 (anti nuclear cytoplasmic antibody:以下 ANCA)陽性で特徴付けられる ANCA 関連血管炎に含まれ る。同じ ANCA 関連血管炎である顕微鏡的多発血管炎(Microscopic polyangitis, 以下 MPA)の ANCA を使ったモデル動物は確立されており、その病態は理解されているが、GPAでは有用なモデル動物 が存在しない。我々は GPA が MPA と異なり気道炎症を伴うことに着目し、ANCA に加えて、気道の 炎症という second hit が GPA の病態を形成していると仮説した。本研究の目的は GPA 発症モデル マウスの確立である。ANCA とともに気道炎症を誘発することにより、同モデルを確立することを 考えた。 本研究ではマウスで MPA を誘導することのできる MPO-ANCA とともに second hit として気道炎症 を加えることで、GPA 病態を再現できるかを検討する。Second hit としては二つの方法を用いる。 マウスを用いて MPO-ANCA の存在下に1結核菌の菌体成分であるトレハロース・ジミコール酸 (trehalose dimycolate:TDM)、もしくは少量 の菌体を 投与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
MPOノックアウトマウスをリコンビナントMPO+完全型フロインドアジュヴァントで1回、不完全型フロインドアジュヴァントで3回免疫し、マウス血清を回収。血清をカプリル酸沈殿で粗精製を行った後、プロテインGカラムを用いて、IgG分画をアフィニティー精製した。抗体の抗MPO活性はELISAを用いて確認された。その他アジュヴァントをTiter Maxに変更して免疫したが、前者プロトコールの方が収量が良好であった。 抗MPO活性が確認された抗MPO抗体をB6マウスに静脈内投与を行った。投与後一過性の血尿は確認されたが、論文に示されているような糸球体腎炎は確認できなかった。 TDMの最適な投与量を確認するため、B6マウスにTDMを各3、10、30μgづつ投与を行った。各インジェクションで肺肉芽腫形成を確認できたが、10μgが最適量と考えられた。 TDM10μgと抗MPO抗体を同時に投与を行った。抗体投与で肉芽腫増大するマウスも確認できたが、再現性が乏しかった。現在抗体の収量を上げるため、免疫の条件を設定しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
B6が糸球体腎炎抵抗性であり、感受性の高い129S6/SvEvマウスに変更して、実験を計画する。 MPO-ANCAと共にブドウ球菌を接種するモデルを確立する。 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症のモデルとして、喘息モデルマウスにMPO-ANCAを投与し、その反応を見る。
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