研究課題
関節リウマチ(RA)において関節裂隙狭小化(=関節軟骨傷害)は骨びらん形成よりも早期に出現し、機能的障害を来す。関節軟骨傷害の抑制は今後の重要な課題である。本研究は、MRIを用いてRA軟骨傷害を評価し、軟骨再生医療につなげようとするものである。平成28年度は平成27年度に引き続き、2010年RA分類基準を満たすRAを対象に以下の項目を1年間フォローした。23名中罹病期間1年以内は14名、うち1年間のフォローを完了した12名を解析した。両手単純X線、症状の強い方の手指関節MRI(RAMRISによる滑膜炎、骨髄浮腫、骨びらん、関節裂隙)、疾患活動性(Disease activity score: DAS)、自己抗体(RF、抗CCP抗体)、身体活動(HAQ)を1年間評価した。女性83.3%、年齢60歳、罹病期間5ヶ月、初診時のDAS28-CRP 3.38、HAQ 0点、RFと抗CCP抗体の陽性率は共に91.7%であった。Genant-modified Sharp score 0、RAMRISによるスコアは滑膜炎6、骨髄浮腫4、骨びらん4、関節裂隙狭小化14であった(いずれも中央値)。経過中の治療内容はMTX全例(中央値10mg/週)、生物学的製剤5名(TNF阻害剤3例、トシリズマブ2例、アバタセプト3例。2例重複)であった。DAS28-CRPは6ヶ月後2.38(寛解率58 %)、1年後1.27(寛解率100%)、1年後 のHAQ 0.5点、GmSS 0であった(いずれも中央値)。1名でX線進行(delta GmSS>1)を認め、GmSS関節裂隙狭小化のスコアが増加していたが、RAMRISのいずれのスコアも増加を認めなかった。
4: 遅れている
前年に引き続き、当初の予測よりもエントリー症例数が少なく、また、X線進行例が罹病期間1年以内のRAではほとんどみられないため、第一段階の臨床的な解析が進まなかった。
1年間のフォロー完了例が増えたため、血清による骨・軟骨マーカー、炎症に関わるサイトカインやケモカインが測定可能な検体数に至った。全ての検体が揃う5月末から6月にまとめて実施予定である。その後、臨床経過および画像所見を併せた解析が推進可能となる。また、解析対象を罹病期間1年以内に限定していたが、治療の進歩により骨関節破壊例が激減しており、1年以上の症例も追加して解析する。
症例数が少なく検体数も少なかった。そのため、検査キットの購入が遅れた。(キットには使用期限があるため早すぎる購入は望ましくない)。
1年間のフォローが完結する5月末~6月初めに血清を用いて骨・軟骨マーカーおよび関与するサイトカインやケモカインの測定を行う。検査キットを追加購入予定である。
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Modern Rheumatology
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10.1080/14397595.2017