研究課題/領域番号 |
15K09535
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
亀田 秀人 東邦大学, 医学部, 教授 (00265795)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 再燃 / 生物学的製剤 / サイトカイン / 関節超音波 |
研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)の発症機序を解明する前段階として、RAが寛解状態から活動性の再燃を示す際における臨床的・高感度画像的指標の推移と分子生物学的機序、および両者の関連を明らかにすることを目的とした研究である。 生物学的製剤治療により寛解が半年以上持続しており、生物学的製剤の休薬を希望したRA患者を対象として、文書同意を取得した上で平成28年度までに20例を登録した。休薬した生物学的製剤の内訳はインフリキシマブ2例、エタネルセプト5例、アダリムマブ2例、ゴリムマブ1例、セルトリズマブ2例、トシリズマブ5例、アバタセプト3例と大きな偏りは認められていない。これまでに9例が再燃したが、ほぼ全ての患者が同一製剤の再開を選択して速やかに寛解再導入に至っているため、臨床的にも本研究は安全に進められている。 患者による自覚症状のアンケート記入、医師による診察所見の記録と定期的な40関節の超音波検査が着実に施行され、臨床データが蓄積されている。血漿サンプルも平成29年4月現在、合計98検体が採取、凍結保存されている。Meso Scale Discovery社の超高感度サイトカイン測定Multiplexキットにより測定を行っており、再燃に伴い全例で2種類のサイトカインが増加することを既に見出している。 本研究はRAの病態解明につながるのみならず、医療経済を考慮した今後のRA治療指針にも重要なエビデンスを提供することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年間に50例登録の予定で、今年度の前半は生物学的製剤の休薬を希望しない患者が多く登録の遅延が見られた。しかし、後半にはオプジーボの医療経済への影響が社会問題となり本研究の意義が理解されやすくなったことで、再び順調に登録が進み始めている。生物学的製剤によるRA患者の寛解導入は診療科全体で順調に進んでいることから、3年間で40例以上の登録は達成可能な見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の意義を診療科の医師・患者間で共有しながらも、あくまで患者意向を尊重しながら登録を進め、血漿サンプルが約40検体累積する毎にサイトカインや可溶性受容体の濃度測定を行う。関節超音波の施行は週4コマから本研究のために週5コマへと平成28年度より増加させたために、十分な対応が可能となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の繰越金も含めて順調に使用が進んだため、次年度への繰越金は約2万円となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の研究経費における消耗品として使用予定である。
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備考 |
「関節リウマチの再燃機序の解明に関する研究」が本研究課題であり、「関節リウマチ患者における自覚症状、診察所見と関節超音波所見との一致についての検討」、「関節リウマチ患者の寛解導入に関連する因子の検討」が本研究に関連の深い研究課題である。
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