研究課題/領域番号 |
15K09536
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 真生 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (10332719)
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研究分担者 |
山本 靖彦 金沢大学, 医学系, 教授 (20313637)
杉本 直俊 金沢大学, 医学系, 准教授 (80272954)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DIP2A / SNAIL1 / EMT |
研究実績の概要 |
[1] DIP2AとSNAIL1の結合解析: 前年度と同じN末端GSTタグ付きDIP2A(1-99)のGST-DIP2A(Novus Biologicals)と、C末端Mycタグ付きSNAIL1-Myc(Origene)を用い、グルタチオンセファロースビーズでプルダウンアッセイを行った。GST-DIP2AのコントロールとしてリコンビナントGST(Sigma)を用いた実験で、SNAIL1-MycがGST-DIP2Aを介さず非特異的にグルタチオンセファロースビーズに結合することが判明した。対策としてビーズを非特異的結合の少ないシリカ製(Bioclone)に変更し、至適濃度のTweenおよび至適回数の洗浄によって、GST-DIP2AとSNAIL1-Mycの特異的結合が再現性をもって確認できた。 [2] BIACOREを用いたDIP2AとSNAIL1の結合解析: 結合のKd値を算出する精密な解析を予定していたが、機器(BIACORE 2000)の故障により中断した。復旧の見込みがないため、他大学での実施を検討している。 [3] マイクロアレイ解析に十分な数のヒト滑膜細胞サンプルは、現実的に一施設で短期間には得にくいため、米国NCBIのGEOに登録された関節リウマチ、変形性関節症および健常人関節滑膜細胞のマイクロアレイデータを用いて加重型遺伝子共発現網解析(Weighted Gene Co-expression Network Analysis, WGCNA)に着手している。DIP2AとSNAIL1、さらにはⅠ型コラーゲン,α-平滑筋アクチン,telopeptide lysylhydroxylase(TLH)などEMTマーカーと、遺伝子の発現近接性(adjacency)を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
[1] 器材の問題: DIP2AとSNAIL1の精密な結合解析(Kd値の計算)に不可欠のBIACORE 2000が故障し、復旧の目途がたっていない。本実験にはオートサンプラーを装着した型が望ましく、他大学での実験を検討している。 [2] 人的資源の不足: 異動後の28年度は大学院生の配属がなく、予定の実験が遂行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
滑膜細胞遺伝子発現のパブリックデータを用いたWGCNAの解析結果に基づき、今後の実験の効率化をはかる。すなわちDIP2AやSNAIL1の遺伝子発現と近接性のあるもの、EMTマーカー遺伝子群と近接性のあるものを同定し、in vitroでのEMT実験の評価対象とする。FRET実験は2分子FRETで蛍光寿命の計測が可能な特別な機材を必要とし、さらに解析に熟練が必要であるため、十分検討して着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
器材の故障、人的資源の不足から当該年度の実験が手つかずで、次年度に実施することになった。
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次年度使用額の使用計画 |
他施設でBIACORE実験を行う。WGCNAの結果を多いに参考として、EMTに関する培養細胞実験系を効率よく組み立てる。2分子FRETや共焦点顕微鏡にてDIP2AとSNAIL1の細胞内相互作用の観察実験を行う。
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