研究実績の概要 |
関節リウマチ(RA)の自己抗原であるFRP/FSTL1のリガンドとして我々が同定したDIP2Aと、ドメイン構造解析から結合活性が予想されたSNAILとの結合を実証した。結合はDMAP結合ドメインを介すると予想されたため、DMAP結合ドメインを含むDIP2AのN末端99アミノ酸残基からなるN末GSTタグ付きリコンビナント蛋白を使用した(GST-DIP2A-N99, Abnova社)。一方SNAILはC末Mycタグ付きリコンビナント蛋白を使用した(SNAIL-Myc, ORIGENE社)。これら2分子の混合液に、非特異的結合の少ないグルタチオンシリカビーズ(Bioclone社)を添加しGSTタグ部分を結合させた後に洗浄、ビーズとの結合物を溶出し抗Myc抗体でイムノブロットを行った。対照としてGST(Sigma社)を使用し、至適濃度のTweenおよび至適回数の洗浄によって特異的結合が再現性をもって確認された。 RA関節滑膜におけるDIP2AやSNAILの発現を患者検体で解析する計画であったが、治療例が多く炎症滑膜が得られにくい状況であった。そこで、米国NCBIのGEOデータベースより得たRA、変形性関節症(OA)、健常人の関節滑膜のマイクロアレイデータをもとに、加重型遺伝子共発現網解析(WGCNA)を行い、RA、OA、健常人で発現変化が有意に異なる9つの遺伝子グループ(eigengene)を見出した。その中にはDIP2AのパラローグであるDIP2C、SNAILと同ファミリーのSLUGが含まれていた。qPCRで確認したところ、DIP2CおよびSLUGはむしろDIP2AやSNAILよりも有意に高発現しており、現在はDIP2CとSLUGを中心に解析を進めている。GST-DIP2C-N120リコンビナント蛋白も作製が完了し、SNAILやSLUGとの結合解析にとりかかっている。
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