研究課題/領域番号 |
15K09539
|
研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
松井 聖 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (00291815)
|
研究分担者 |
藤盛 好啓 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20229058)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ヒト羊膜MSC / SLEモデル |
研究実績の概要 |
全身性エリテマトーデスモデルマウス(NZBWF1)にヒト羊膜MSC移入実験 NZBWF1マウスは、タンパク尿、抗DNA抗体を産生し、全身性エリテマトーデスを24週で自然発症し、その後、80日前後で死亡に至る動物モデルマウスである。ヒト羊膜MSCを移入し、生存率を検証した。先ず、技術的な問題で、ヒト羊膜MSCを移入に関して、ヒト血清が混入しているため、3回目の投与でヒト血清に対するアナフィラキシーを起こすことが判明したため、先ず、マウス血清に置換した。これで、アナファラキシー状態は起こさなくなった。1)ヒト羊膜MSC移入による生存率の検討:24週齢のNZBF1マウス(1群:n=10)を、①コントロール群、②ヒト羊膜MSC移入群(0.5x106/mouse)③ヒト羊膜MSC移入群(2x106/mouse)の3群で生存率を投与後から80日まで検討した。ヒト羊膜MSC移入細胞数はGVHDマウスモデルで先行する論文から算定しており、結果がでると思われるが、本実験から移入細胞数を検討した。ヒト羊膜MSC移入群(0.5x106/mouse)でもヒト羊膜MSC移入群(2x106/mouse)と同様に抑制効果はあるが、生存率で大きな有意差がでていないため動物モデルの検討を余儀なくされた。そこで、今後、他の動物モデルで実験開始するために準備をしている。また、同様に、経時的にタンパク尿と抗DNA抗体を測定し、病態を抑制的に作用しているかどうかを確認し、抑制機序を解析するためにTh1/Th2,Th17/Tregの解析を行う。更に、ヒトにおいて、ヒト羊膜MSCの免疫抑制能の検討:1)樹状細胞(DC)分化抑制能の検討2)リンパ球混合試験(MLR)のよる免疫抑制能の検討を進めて行く予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1 全身性エリテマトーデスモデルマウス(NZBWF1)にヒト羊膜MSC移入実験:想定していたモデルマウスでは、十分生存率を抑制する結果を得られていないため、動物モデルを変更して実験しているため、遅れている。現在、MRL/lprマウスを用いて検討を進めている。また、ヒトの検討においては、2ヒト羊膜MSCの免疫抑制能の検討:1)樹状細胞(DC)分化抑制能の検討:末梢血単核細胞(PBMC)から接着細胞を選択し、GM-CSFとIL-4を加えて常法どおり樹状細胞を分離する。細胞表面マーカー CD11c, CD209, HLA-ABC, HLA-DRとCD40をフローサイトメトリーで確認し90%以上陽性4日間培養して、DC細胞として使用する。DCの分化にはLPS(100ng/ml)とIFN-γ(20ng/ml)を加えて18時間培養する。DC細胞の確認はCD83の発現とIL-12p70の産生で確認する。この培養系にヒト羊膜MSCを加えて、CD83の発現とIL-12p70の産生を検討することで、ヒト羊膜MSCの樹状細胞分化能を抑制するか否かが検討できる。3.リンパ球混合試(MLR)のよる免疫抑制能の検討;1)で使用したPBMCの非接着性細胞を反応細胞として使用し、ヒト羊膜MSCを抑制細胞として使用することでMLRの反応を検討できる。DCとPBMCを加えた培養系にヒト羊膜MSCを加えることで増殖能が抑制されるか否かを検討する。この検討は輸血・細胞治療センターで調整されたヒト羊膜MSCが機能しているかどうかを検討するものであり、海外では既にこの方法により確認されているので同様の方法で確認していく。更に、ステロイド治療を受けたステロイド抵抗性難治性膠原病・膠原病類縁疾患患者に対する同種羊膜間葉系幹細胞(MSC)の静脈内投与を行い、安全性評価を主たる評価項目と治療有効性の検討を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
動物モデルマウスの変更による検討とヒトに対する検討を平行して進めて行く予定である。 1.ヒト羊膜MSCの免疫抑制能の検討:1)樹状細胞(DC)分化抑制能の検討:末梢血単核細胞(PBMC)から接着細胞を選択し、GM-CSFとIL-4を加えて常法どおり樹状細胞を分離する。細胞表面マーカー CD11c, CD209, HLA-ABC, HLA-DRとCD40をフローサイトメトリーで確認し90%以上陽性4日間培養して、DC細胞として使用する。DCの分化にはLPS(100ng/ml)とIFN-γ(20ng/ml)を加えて18時間培養する。DC細胞の確認はCD83の発現とIL-12p70の産生で確認する。この培養系にヒト羊膜MSCを加えて、CD83の発現とIL-12p70の産生を検討することで、ヒト羊膜MSCの樹状細胞分化能を抑制するか否かが検討できる。2 リンパ球混合試験(MLR)のよる免疫抑制能の検討:1で使用したPBMCの非接着性細胞を反応細胞として使用し、ヒト羊膜MSCを抑制細胞として使用することでMLRの反応を検討できる。DCとPBMCを加えた培養系にヒト羊膜MSCを加えることで増殖能が抑制されるか否かを検討する。3. ステロイド治療を受けたステロイド抵抗性難治性膠原病・膠原病類縁疾患患者に対する同種羊膜間葉系幹細胞(MSC)の静脈内投与を行い、安全性評価を主たる評価項目と治療有効性の検討。倫理審査委員会、評価委員会の手続き終了後、倫理審査委員会の書類のプロトコールに従って、患者選択基準に従って、十分なインフォームドコンセントのもとに臨床研究を実施する。:安全性評価:1)必要時に同種羊膜MSCを移入でき、異物反応が診られないか。2)免疫抑制による感染症等の副作用が診られないか。3)治療有効性:1原疾患の鎮静化ができるかを評価する。2治療有効性を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
全身性エリテマトーデスモデルマウス(NZBWF1)にヒト羊膜MSC移入実験 NZBWF1マウスは、タンパク尿、抗DNA抗体を産生し、全身性エリテマトーデスを24週で自然発症し、その後、80日前後で死亡に至る動物モデルマウスである。ヒト羊膜MSCを移入し、生存率を検証した。、①コントロール群、②ヒト羊膜MSC移入群(0.5x106/mouse)、③ヒト羊膜MSC移入群(2x106/mouse)の3群で生存率を、観察期間は投与後から80日まで検討した。予想される結果であれば、経時的にタンパク尿と抗DNA抗体を測定し、病態を抑制的に作用していたが、明らかの有意差が認められなかったため、モデルマウスの検討とヒト血清についても検討を余儀なくされたため、予定通り進まず、実験が遅れたため、次年度に繰り越しとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
全身性エリテマトーデスモデルマウス(MRL/lpr) にヒト羊膜MSC移入実験 MRL/lprマウスは、タンパク尿、抗DNA抗体を産生し、全身性エリテマトーデスを24週で自然発症し、その後、80日前後で死亡に至る動物モデルマウスである。ヒト羊膜MSCを移入し、生存率を検証した。1)ヒト羊膜MSC移入による生存率の検討:24週齢のNZBF1マウス(1群:n=10)を、①コントロール群、②ヒト羊膜MSC移入群(0.5x106/mouse)、③ヒト羊膜MSC移入群(2x106/mouse)の3群で生存率を観察期間は投与後から80日まで検討する。ヒトにおいて、1)ヒト羊膜MSCの免疫抑制能 2)リンパ球混合(MLR )試験による免疫抑制能 3)ヒト応用に対する倫理審査委員会の準備を行う予定にしている。
|