研究課題
本研究では、Poly(ADP-ribose)polymeraseであるTankyrase、およびTankyraseにより発現が調節されるアダプター蛋白SH3BP2に着目し、それら蛋白の骨代謝・自己免疫性疾患における役割を検討した。。まず、骨代謝におけるTankyraseの役割を検討した。マウス骨髄由来マクロファージ培養での検討で、Tankyrase阻害剤が細胞内のSH3BP2の蓄積を誘導し、NFATc1の活性化を介して、破骨細胞分化を著明に誘導することが分かった。また、骨芽細胞での検討では、Tankyrase阻害剤はWnt阻害作用を有するにもかかわらず、骨芽細胞分化抑制作用は無く、SH3BP2蓄積、また他のTankyrase基質の増加を介してWnt阻害作用に拮抗していることが示唆された。マウス個体へのTankyrase阻害剤の投与では、破骨細胞増加を伴い骨量減少が誘導された。上記の如く、Tankyraseは骨代謝において多面的に作用しており、新規骨代謝調節因子として、骨粗鬆症などの骨量減少疾患の治療ターゲットになり得ると考える。研究成果は雑誌Boneに掲載された。自己免疫疾患におけるSH3BP2の役割を解明するため、SH3BP2機能獲得変異マウスと全身性エリテマトーデスモデルマウス(Fas-lprマウス)を交配し、二重変異マウスを作成した。結果、SH3BP2機能獲得変異Fas-lprマウスでは、SH3BP2野生型Fas-lprマウスと比較して、蛋白尿が減少し腎硬化所見も軽快、血中抗dsDNA抗体価・自己反応性T細胞数の低下が見られた。SLE様病態が改善した機序として、SH3BP2蛋白過剰によるマクロファージ活性化にともなうApoptosisおよびPhagocytosis亢進が関与していることが想定された。この詳細機序については今後検討していく予定である。
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