• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

膠原病リウマチ疾患の難治性病態に対するWntシグナル阻害による新規治療戦略の創出

研究課題

研究課題/領域番号 15K09541
研究機関産業医科大学

研究代表者

斉藤 和義  産業医科大学, 医学部, 准教授 (30279327)

研究分担者 和泉 弘人  産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50289576)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードリモデリング抑制 / Wnt10 / 膠原病
研究実績の概要

膠原病の組織リモデリングにおける上皮間葉転換および血管内皮間葉転換の2種の間葉転換の病態への関与、調節機序の解明とその制 御による治療創生を目的として研究を行った。膠原病において間質に顕著な線維芽細胞・血管内皮細胞の増成が認められる組織におけるWntファミリー発現状況を病理学的に検討し、関節リウマチ、強皮症、皮膚筋炎、血管炎症候群に認められる間質性肺炎、肺高血圧症における血管病変の生体および剖検病理試料におけるWntファミリー発現細胞、間葉転換細胞を免疫組織学的染色にて同定し単位面積あたりの発現細胞数、存在範囲、周囲細胞との分布などを解析した。評価においては、組織スライドをNanoZoomer Digital Pat hologyを用い、標本面積に占める間葉転換細胞、Wntファミリー発現細胞の分布などを検討した。間葉系細胞マーカーとしてはαSMを、上皮・血管内皮系細胞マーカーとしてはβ-cateninを用いた。また、上皮間葉、血管内皮転換と密接に関与し、血管リモデリングと閉 塞、肺・皮膚硬化に関わるTGFβ発現も検討した。その結果、上記の膠原病リウマチ性疾患の組織においては、線維化・血管リモデリングの進行を認めている部位に組織にはmyofibrobl astの増生が認められた。この組織をWnt10に対する抗体で組織染色したところ、血管内皮に加えてmyofibroblastも染色された。すなわち、これらのWnt10陽性myofibroblastが組織における線維化病態に関与している可能性が示唆された。また、原病の種類によりWnt10陽性myofibroblastの単位面積あたりに存在する細胞数が異なり、細胞密度と線維化病態は必ずしも相関していなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膠原病リウマチ性疾患の線維化病態の形成におけるWnt10陽性myofibroblastの関与が確認された。この点の確認が必須であり慎重に評価するために時間を要した。今後は、in vivoでの検討、さらにはWnt10ノックアウトマウスの作成を行っており、これを用いた実験的間質性肺炎、皮膚硬化に対する同遺伝子の関与を検討へと展開する予定である。

今後の研究の推進方策

疾患病理組織での解析で得られた事実をもとにin vitroで滑膜細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、間葉幹細胞などとWntファミリー強制発現細胞共培養して、in vitroにおける間葉転換の再現を確認する。その際に間葉転換に関わるWntシグナル伝達系の決定、転換細胞への生存シグナルや細胞周期への影響、血管新生、間葉転換にかかわる液性因子、細胞表面機能分子、シグナル伝達系、転写因子活性化への関与等を明らかにする。また、これまでに得られた情報をもとに、in vitroで上皮間葉転換・血管内皮間葉転換に対する薬剤の効果を検討するとともに、ヒト臓器移植SCIDマウスを用いた線維芽細胞・血管内皮細胞-間葉形質転換におけるex vivoでの解析を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Profibrotic role of WNT10A via TGF-β signaling in idiopathic pulmonary fibrosis2016

    • 著者名/発表者名
      Keishi Oda, Kazuhiro Yatera, Hiroto Izumi, Hiroshi Ishimoto, Sohsuke Yamada, Hiroyuki Nakao, Tetsuya Hanaka, Takaaki Ogoshi, Shingo Noguchi and Hiroshi Mukae
    • 雑誌名

      Respiratory Research

      巻: 17 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1186/s12931-016-0357-0

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi