研究課題
27年度、炎症誘導物質をモニター可能なレポーター細胞を用いて、種々の自己免疫疾患患者由来血清中に含まれる炎症誘導活性を測定し、SLE血清において type I IFN (IFN-I)活性ならびにIFN-I誘導活性が高いことを見出した。また、様々な核酸受容体欠損レポーター細胞を作成し、SLE血清によるIFN-I誘導がSTING 依存的に惹起されることを見出した。28年度は、STINGを介してIFN-Iを誘導する因子について検討を行い、SLE血清中にはdsDNAが多く含まれており、それらはDNase Iに対する分解から保護されており、血清中の細胞外膜小胞に着目した。210,000gにて単離されるexosomeよりもやや大きい16,000gにて単離されるapoptosis-derived membrane vesicle (AdMVs)分画にIFN-I誘導活性が多く含 まれていることを見出した。 このことから、SLE血清中には、apoptosis由来物質特にDNA断片が、AdMVsに内包されて存在し、それらが食作用により細胞質内に取り込まれ、dsDNA受容体のcGASで2’3’- cGAMPに変換されてSTINGを活性化し、その結果IFN-I産生が亢進する、という、膜小胞によるIFN-I産生亢進機序が存在し、SLEの増悪に寄与することが分かった。この成果は、リウ マチ性疾患関連雑誌の最高峰であるAnnals of Rheumatic Disease誌に発表した(Ann Rheum Dis. 77: 1507-15, 2018)。
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Annals of the Rheumatic Diseases
巻: 77 ページ: 1507-15
10.1136/annrheumdis-2018-212988