研究課題/領域番号 |
15K09551
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
長谷川 均 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (40164826)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 寛容型樹状細胞 / 制御性T細胞 / 自己免疫疾患 |
研究実績の概要 |
自己免疫疾患やアレルギー疾患の分野では、自己反応性T細胞を標的とし免疫寛容に導く樹状細胞(tDCs)を用いた抗原特異的な治療が注目されている。今までに生理活性物質や薬剤を用いて、tDCsを誘導した既報告があるが、誘導されたtDCsはいずれも一長一短であった。 このため、我々は、既報の誘導物質、Cキナーゼ阻害剤(PKCI)、IL-10 、TGF-beta、vitamin D3、dexamethazone、rapamycin、PPARgamma+retinoic acid の6種類で誘導されたtDCsとの比較検討を行い、制御性T細胞誘導能、二次リンパ節への遊走能、炎症環境下での安定から、PKCI-tDCsが最も良いことを明らかにした。さらに、PKCI-tDCsの誘導に関与するmiRNAの同定をmiRNA arrayにて比較解析を行い、PKCI-tDCsに発現の高いmiRNAのスクリーニングを行ったが、今年度は優れたmiRNAは見いだせなかった。しかし、この研究は今後の進展において非常に重要なので、やり直す予定である。 また、シェーグレン症候群(SS)を対象として、自己抗原のHLA-DRB1拘束性のT細胞エピトープの解析を行い、抗原特異的免疫抑制療法の確立を目指している。SS患者末梢血からPKCI-tDCsが誘導できるか検討し、すべてのSS患者から、PKCI-tDCsの誘導は可能であった。これらの患者のHLA-DRB1を検討し、M3R T細胞エピトープの解析を行い、その候補エピトープをパルスし、自己抗原特異的Tregsの誘導を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.6種類の誘導物質で誘導されたそれぞれのtDCsを比較検討したところ、制御性T細胞誘導能、二次リンパ節への遊走能、炎症環境下での安定から、PKCI-tDCsが最も良いことを明らかにした。 2.未熟、成熟DCsおよびPKCI-tDCsから全RNAを抽出し、miRNA arrayにて比較解析を行い、PKCI-tDCsに発現の高いmiRNAのスクリーニングを行ったが、優れたmiRNAは見いだせなかった。しかし、今後の本研究の進展において非常に重要なので、やり直す予定である。 3.SS患者の末梢血から、PKCI-tDCsが誘導できた。 4.HLA-DRB1が一致しているSS患者でM3R T細胞エピトープの解析を行い、その候補エピトープをパルスし、自己抗原特異的Tregsの誘導について解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1.PKCI-tDCsに発現の高いmiRNAをスクリーニングをやり直す。これらのうち、miRNA target databaseを参考に、PKCI-tDCsの機能に関与すると予想されるmiRNAを選定し、合成miRNAを作成する。それぞれの合成miRNAをDCsに導入し、PKCI-tDCsと同様の表現型を誘導するmiRNAを同定する。 2.SS患者でM3R T細胞エピトープの解析を行っており、これを推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
M3RT細胞エピトープやmiRNAの解析を行っており、まだ完全にできていない。このため、一部の研究費を次年度に繰り越す。次年度も研究計画書のとおりに、研究費を使用し、研究を遂行していく予定である。 使用計画 試薬類や培養液に充当予定。
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