研究課題/領域番号 |
15K09557
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研究機関 | 帝京平成大学 |
研究代表者 |
根来 孝治 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (70218270)
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研究分担者 |
中野 泰子 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (20155790)
清水 俊一 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (60196516)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アレルギー・ぜんそく / 制御性T細胞 / FOXP3 splicing variants / カルシウム応答性 |
研究実績の概要 |
申請者らは、これまでに制御性T細胞(Tregs)の主制御遺伝子であるFOXP3のsplicing variants発現量が喘息患者で対照に比べ変化していることを学会で報告している。一方、T細胞受容体刺激によるTregsのカルシウム不応答性を利用し、Tregsの機能解析を行ってきた。喘息患者では、Tregsの機能異常を認め、そのため炎症の慢性化をきたしていることが推測された。本年は、FOXP3 variants発現量変化がその機能異常と相関するものかどうかを検討するとともに、variants個々の機能を解析することを目的としている。各variantsのHalo-tag constructsは作製済みであり、効率の良いトランスフェクション条件を確認したところである。現在、variants個々の転写調節機能を解析中である。まずは、特徴的なターゲット遺伝子群の発現量をreal-time PCRにより解析している。データの再現性を確認できたら、各FOXP3 variantsのトランスクリプトーム解析を行う予定である。また、抑制機能の一端を担うと考えられているcAMPの産生量を測定したところ、全長FOXP3(FL)とexson2欠損体(delta2)では、delta2の方が高産生量を示していた。Tregsの機能と相関があるカルシウム応答性に関しては、FLとdelta2との間に差異は認められなかった。Exson2が欠損していてもFOXP3の機能に問題は生じていないと考えられたが、Th17細胞の主制御遺伝子であるRORgtの発現量が亢進していた。喘息患者(成人)においてdelta2/FL比が高くなることより、TregsからTh17へのシフトがvariantsの発現量によりコントロールされているかもしれないことが示唆された。他のFOXP3 variantsに関しても現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度より本大学へ移動したことより、研究条件の再構築に時間を要している。概ね、必要な実験機器は揃っていることと、1年経過したことより研究環境は整ってきている。これより、本格的に研究を遂行する予定である。既に、興味深い知見も得ているため、申請時には予定にない方向へも研究が進む可能性が出てきている。
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今後の研究の推進方策 |
トランスフェクション実験条件は整ったことより、保有する全FOXP3 variantsのcAMP産生やカルシウム応答性の解析を行う予定である。また、転写因子としての機能を比較することにより、FOXP3 variantsにより制御を受けるcAMP産生やカルシウム応答性に関与する遺伝子群を同定可能と考えている。次に、delta2によるRORgt発現量亢進によるTregsの機能解析を詳細に検討する予定である。基本的には、cAMP産生はカルシウム応答性は問題ないためTregsの抑制機能には影響ないと考えられ、既に報告されている結果と同じであった。しかし、RORgtによるTh17様遺伝子群の解析は行われていないため、新規の知見が得られると考えられるため、詳細に解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新たな機関に移動し、細かい機器の設定や種々の研究条件の設定の再現性を取り直した。また、SPSSやFlowJoなどの解析ソフトウエアの購入など初期準備段階の経費が必要であった。予定外の支出もある一方、研究自体はまだ本格的には開始していないため、研究費を翌年度に持ち越し、翌年度に支出することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
徐々に研究環境の設定ができたため、新年度より遅れていた研究を執り行う予定である。Jurkat細胞へのFOXP3 splicing variantsのトランスフェクション実験の条件検討は終了しており、その後の解析としてカルシウム応答性解析などを行う予定である。
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