研究課題
1.重症の慢性蕁麻疹患者のマスト細胞におけるMrgX2の発現の増強の機序の解明:皮膚マスト細胞を皮膚線維芽細胞と共培養し、Mrgx2 mRNA発現レベルとMrgX2のタンパク発現レベルを共培養なしと比較したが皮膚マスト細胞におけるMrgX2の発現が元々高く有意な変化は見られなかった。ヒト肺マスト細胞を線維芽細胞と共培養するとMrgX2が発現してくるが、これはPGD2受容体のDP1のブロックで抑えられた。2. MrgX2の関節滑膜マスト細胞における発現と役割の検討:関節リウマチ(RA)と変形性関節症(OA)患者滑膜組織の免疫組織化学染色を行ったところ両患者の滑膜組織マスト細胞はSPを発現しておりその陽性数や発現頻度には有意差はなかったが、substance P (SP)の染色パターンが異なり、RAでは41%の、OAでは7%のマスト細胞においてSPは細胞膜周辺に局在していた。FcεRIの架橋および凝集IgG刺激で刺激2時間以降にTac1 mRNAが上昇したが、細胞上清中のSPは測定感度以下であった。SPはマスト細胞から分泌されるカイメースによって分解された。マスト細胞内にはSPが700 pg/10E6個が存在し、刺激30分後にそのSP量は有意に減少した。活性化された滑膜マスト細胞は即座にSPを分解し、これはRAにおいてSPを介する滑膜細胞の活性化を抑制していることが示唆された。3. RAおよび慢性蕁麻疹でのマスト細胞のMrgX2の役割の検討:SPは皮膚および滑膜マスト細胞上のMrgX2を介しマスト細胞を活性化し炎症メディエーターを遊離させ炎症を惹起させる。重症慢性蕁麻疹患者の皮膚マスト細胞ではMrgX2の発現が増強しており血中にSPおよびhemokinin-1が存在した。RAの関節滑液中にもSPは存在しSP-MrgX2枢軸が両疾患の炎症の病態に関与していることが示唆された。
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