研究実績の概要 |
私達はアレルギー性炎症において重要な役割を演じる好酸球がPRSS33(Protease, serine, 33)を特異的かつ恒常的に発現することを見いだした。本研究はこのPRSS33に関して、recombinant PRSS33タンパクを用いたin vitro解析と、CRISPR/Cas9システムによるPRSS33ノックアウトマウスを用いたin vivo解析を行い、好酸球の全く新たな機能を明らかにすることを目的としている。 初年度はバキュロウイルス系を用いて作成したrecombinant PRSS33(rPRSS33)タンパクを用いて各種気道構成細胞に与える影響を検討し、rPRSS33が線維芽細胞におけるextracellular matrix proteinのmRNA発現をプロテアーゼ活性依存的に増強する事を見いだした。 第2年度である本年度は、経気道的にProtease抗原であるpapainを3日間連続投与して惹起されるIL-33依存性の好酸球性炎症を用いて、PRSS33ノックアウトマウス(PRSS33 KO)の好酸球の遊走、生存などを確認した。その結果、Wild typeの場合と全く同様の好酸球の組織内浸潤と生存延長がPRSS33 KOにおいても認められた。このことから、PRSS33 KOの好酸球の脱顆粒以外の機能がWTと同等であることが強く示唆された。最終年度である平成29年度に向けて、好酸球の活性化によって惹起されると考えられるダニ抗原の長期吸入(週5日x 6週間)による組織リモデリングモデルを樹立した。来年度はこのモデルを用いて、好酸球のPRSS33の機能を検討する予定である。
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