研究課題/領域番号 |
15K09561
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松尾 淳司 北海道大学, 保健科学研究院, 講師 (50359486)
|
研究分担者 |
中村 眞二 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40207882)
山口 博之 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40221650)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | クラミジア / 炎症 |
研究実績の概要 |
偏性細胞内寄生細菌クラミジアは、呼吸器感染症や性行為感染症の原因となるのみならず、動脈硬化や気管支喘息、あるいは関節炎などの慢性炎症性疾患への関与が示唆されている。そのため、クラミジアによる炎症誘導機構の解明が、クラミジア感染症の抜本的な予防・治療法の開発につながる可能性がある。そこで、昨年度に引き続きnon‐TLRシグナルを介した、クラミジア感染における宿主炎症応答の解明を試みた。昨年度までの実験において、阻害剤を用いて実験から肺炎クラミジアがnon‐TLRシグナルを介した炎症シグナルを誘導することを示唆する結果がえられた。そのため、クラミジア分子との分子間相互作用解析を行うために、引き続きnon‐TLR受容体候補の大腸菌を用いた組換え体の発現・精製を試みた。可溶化実験には、異なる大腸菌株による発現系を用いて、温度条件などの検討を行ったものの、現在までのところ十分な可溶化条件は見いだせていない。 そのため、環境に存在し太古に肺炎クラミジアなどから分岐したと考えられるクラミジアを、以前に病院環境より株化することができたので、これらクラミジアを用いて、炎症誘導能をリアルタイムPCR法およびELISA法にて解析した。その結果、どちらの方法においても菌量依存的にクラミジアの炎症誘導能が確認できた。その一方、加熱処理したクラミジアでは、これらの応答が消失していた。このようにクラミジアによる炎症誘導能は、広く保存された易熱性の分子により誘導されることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、non‐TLR 受容体候補の組換え体の作成を試みているが、可溶化条件の検討がうまくいかず、実験が予定通り進んでいない。その一方、別の観点からクラミジアの炎症誘導機構を探索し、保存された易熱性の分子がクラミジアの炎症誘導に関与することを示唆する結果を得た。そのため、一部実験がうまく進んでいないため、若干の遅れがあるものと判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続きクラミジアの炎症誘導におけるnon‐TLR 受容体の関与の解明を試みる。さらに、クラミジアによる炎症誘導において引き起こされる細胞内制御機構の解明やクラミジア感染をよりヒト体内の環境に近づけた感染モデルを構築し、感染・炎症応答の制御機構の解明を試みる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本研究を効率的に運用したため、若干の次年度繰越金が生じた。そのため、次年度に使用予定の経費と併せて、本研究を完遂できるように使用する。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、細胞培養に関る培地・消耗品、遺伝子発現解析実験に加えて、研究成果発表にかかわる旅費に必要な費用に充当する予定である。
|