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2016 年度 実施状況報告書

14員環マクロライドのアジュバント効果の発見と、免疫記憶の向上と再感染の阻止

研究課題

研究課題/領域番号 15K09569
研究機関徳島大学

研究代表者

高橋 悦久  徳島大学, 先端酵素学研究所(デザイン), 特任助教 (10380065)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードインフルエンザ / クラリスロマイシン / 免疫記憶 / 再感染 / 宿主プロテアーゼ / サイトカイン / ケモカイン / ノイラミニダーゼ阻害剤
研究実績の概要

現在、インフルエンザ罹患時にはタミフル、リレンザ、イナビルのような抗ウイルス薬がよく使われている。これらの薬剤はウイルス増殖を抑制し症状を改善する。一方で、ウイルス抗原の減少により、獲得免疫の低下を引き起こす。本研究では、クラリスロマイシン(CAM)とタミフルを併用投与することによる免疫増強効果および感染メモリーを検証した。
方法として、マウスにインフルエンザウイルス(PR8)を低用量感染させて14日間薬剤を経口投与した。2ヶ月後に初感染の2000倍にあたるウイルスを再感染させ、6日後に脾臓、肺、肺縦隔リンパ節から細胞を分離し、メモリー細胞についての解析を行った。セントラルメモリーT細胞(Tcm)と、エフェクターメモリーT細胞(Tem)の割合を、フローサイトメーターを用いて解析した。その結果、炎症局所の肺で、CAMとタミフル併用群がタミフル単独群と比べTemの割合が増加傾向であった。また、脾臓、肺縦隔リンパ節ではTemに加えTcmの増加も認められた。この傾向はCAMにジクロロ酢酸を付加した誘導体でも確認できた。なお、この誘導体は抗菌作用がないことが分かっている。
更に、インフルエンザ感染によってプロテアーゼやサイトカイン・ケモカインが増加することは知られているが、CAMを投与することで肺と心臓において、感染が重症化したときに見られる血管透過性の亢進が抑制されていることが明らかとなった。理由として、CAMを投与することで基底膜におけるコラーゲン(Ⅳ)の分解、単球/マクロファージの浸潤に関与するMMP-9とMCP-1が抑制されることで炎症が軽減することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

クラリスロマイシン(CAM)の経口投与による免疫メモリー増強効果を確認した。CD8+細胞障害性T細胞(CTL)に加えてCD4+ヘルパーT細胞(Th)についての検討も行った。その結果、CAMを投与することにより、CD8+細胞、CD4+細胞ともに免疫メモリーが増加傾向であることが明らかとなった。更に、抗菌作用のないクラリスロマイシン誘導体についての検討したところ、CAMと同様に免疫増強効果があり、免疫メモリーについても同様の効果が認められた。
また、インフルエンザ感染時のCAM投与でMMP-9とMCP-1の発現が抑制された結果、肺と心臓において炎症が軽減されることを見いだし、Comparative Immunology, Microbiology & Infectious Diseasesに投稿中である。
以上の理由から、おおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

引き続き、免疫メモリーについてはCAMと並行して抗菌作用のない誘導体についての検証を行う。T細胞メモリーについての検討に加えて、B細胞メモリーについてもフローサイトメーターによる解析と関連する遺伝子(Bach2, Blimp-1 等)についてはRT-PCRを用いた解析を行う。また、ウイルスタイプをH1N1だけでなくH3N2も含めて、交叉免疫性についての検証を始める。

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公開日: 2018-01-16  

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