研究課題
【対象と方法】2015年12月から2017年2月に当院で黄色ブドウ球菌菌血症を発症した成人患者73名(男性45名,女性28名)についてMRSA群(34例)とMSSA群(39例)に分けて臨床的検討を行った.【結果】平均年齢と性別はMRSA群が70.2±14.4歳で男性23例,女性11例,MSSA群が67.9歳±22.2歳で男性22例,女性17例であった.基礎疾患の指標であるCharlson comorbidity indexおよび菌血症の予後予測指標であるPitt bacteremic score(PBS)は両群で有意差がなかった.入院から菌検出までの日数はMRSA群が29.2±33.7日,MSSA群が6.2±12.7日と,MSSA群で有意に短く,MSSA群が主に市中で発症していることを反映していると考えられた.28日死亡率はMRSA群が22%,MSSA群が11%とMRSA群が高率であったが両群に有意差は認められなかった.菌血症発症後24時間以内に適切な抗菌薬が投与された割合はMRSA群が38%,MSSA群が72%とMRSA群が有意に低率であった.14日以内で死亡した群(9例)と生存した群(62例)に分けて比較検討を行ったところ,14日以内死亡群では有意にPBSが高値であり,また敗血症の予後予測スコアであるsequential organ failure assessment(SOFA)スコアも高値であった.【考察】黄色ブドウ球菌は菌血症の原因菌の中でも最も分離頻度の高い細菌の一つであり,その臨床的なインパクトは大きい.今回の検討でも全体の28日死亡率は16.7%と高率であった.またMRSA群はMSSA群と比較して有効な抗菌薬が投与されるタイミングが遅く,また予後も不良である傾向にあった.今後は毒性因子や相同性などの黄色ブドウ球菌の菌側の特性と合わせて評価を行う予定である.
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