研究課題
近年感染症学におけるエピジェネティクスによる遺伝子発現制御の重要性が報告され、申請者もこれまで敗血症におけるエピジェネティクスの研究を行ってきた。インフルエンザ・肺炎球菌重複感染による重症肺炎は医学的、社会的にも重要な課題となっているが、エピジェネティクスの関与は未だ明らかではない。本研究の目的は、インフルエンザ・肺炎球菌感染重複感染における、エピジェネティクス(ヒストンアセチル化やヒストンメチル化)の重要性を明らかにすることである。我々はまずインフルエンザ感染後肺炎球菌性肺炎マウスモデルを用いて、ヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase: HDAC) 阻害薬であるtrichostatin A (TSA)の投与効果の検討を通じてヒストンアセチル化の重要性を検討した。ヒストン脱アセチル化酵素活性はTSAの投与により有意に減少し、インフルエンザ・肺炎球菌重複感染肺炎マウスの生存率は、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬TSAの投与により有意に改善し、TSAの保護的効果が認められた。さらに、インフルエンザ・肺炎球菌重複感染肺炎マウスでの細菌量を検討したが、TSAの投与により肺炎球菌感染後36時間での細菌量は有意に減少した。また肺胞洗浄中の細胞数は、TSAの投与により有意に減少した。細胞分画は、TSAの投与により好中球は減少傾向であり、一方マクロファージやリンパ球分画は変化は認めなかった。今後はさらに検討を進めていく予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、主にインフルエンザ感染後肺炎球菌性肺炎マウスモデルを用いて、ヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase: HDAC) 阻害薬であるtrichostatin A (TSA)の投与効果の検討を検討し、有望な結果が得られている。
平成27年度は、主にインフルエンザ感染後肺炎球菌性肺炎マウスモデルを用いて、ヒストン脱アセチル化酵素(Histone Deacetylase: HDAC) 阻害薬であるtrichostatin A (TSA)の投与効果の検討を検討し、有望な結果が得られている。平成28年度以降は、さらにTSA投与効果に関して検討をすすめ、また同時にヒストンメチル化(特にEzh2の役割に関して)の影響に関しても、同モデルで検討を開始していきたい。
購入予定であった、ChIPアッセイ抗体やELISAキットは次年度以降に新規購入を行う方針となったため。
今年度購入予定であった、ChIPアッセイ抗体やELISAキットは、次年度以降購入予定である。また合わせて動物購入・維持費も計上する予定である。
すべて 2015
すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件)