本研究は重症インフルエンザ感染後肺炎球菌性肺炎にヒストンアセチル化を介したエピジェネティクス制御が関与している仮説のもとに、C57BL/6マウスにインフルエンザA(PR8株)5PFUを点鼻投与し、7日後に10の4乗CFUの肺炎球菌を点鼻感染させた。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬のTSAを1日1回腹腔内投与を行った(1 mg/kg)ところ、HDAC活性は有意に低下し、生存率も有意に向上し、細菌の菌量や肺胞洗浄液中の総細胞数は有意に低下した。さらにTSA投与により全肺NK細胞数も有意に低下し、TSAによるインフルエンザ感染後肺炎球菌性肺炎の保護的効果に寄与している可能性が考えられた。
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