研究課題/領域番号 |
15K09590
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
清水 佳奈子 国立研究開発法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (20391980)
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研究分担者 |
藤井 眞一郎 国立研究開発法人理化学研究所, その他, 研究員 (10392094)
山崎 哲 国立研究開発法人理化学研究所, その他, 研究員 (30392161)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | NKT細胞 / 樹状細胞 / CD4Tfh細胞 / 抗体 |
研究実績の概要 |
感染症に対するワクチンシステムの基盤研究は治療薬の開発と共に重要な課題である。申請者らはこれまで、NK/NKT細胞およびキラーT細胞の誘導を主体とした「人工アジュバントベクター細胞 (aAVC)」ワクチンシステムの開発を行ってきた。本研究ではCD4 T細胞を介した液性免疫の誘導に着目し、ワクチンシステムの開発と同時に抗体産生誘導の免疫学的機序を解明している。本年度は、抗体産生のboosting効果に関する検討をおこなった。OVA発現aAVC(aAVC-OVA)を用いてマウスを免疫し、aAVC-OVAまたはNKTリガンドであるα-GalCerを添加した樹状細胞(DC/Gal)で2回目のboostingを行うと、aAVC-OVAではboosting効果を認めるのに対し、DC/Galでは認めなかった。逆に、CD4T細胞をboosting前に除去すると全くboosting効果は認められなかった。これにより、boosting効果はNKTではなくCD4T細胞依存性であることがわかった。またBoostingにより6-12ヶ月以上にわたり、高力価の抗体を維持することができることが判明した。次にインフルエンザPR8株のHA抗原を発現させたaAVC-HAを作製し、従来のインフルエンザワクチン(不活化ワクチン)との抗体産生効果の比較検討と、インフルエンザ感染における防御効果を検証した。aAVC-HAは従来のワクチンに比べ約10倍の抗体産生を誘導することが判明した。また2週間前にaAVC-HAを免疫しておくと、致死量のインフルエンザ接種にもかかわらず、体重減少等の症状もなく全てのマウスが生存することを確認した。これにより、aAVCワクチンシステムは長期抗体誘導に優れ、感染モデルにおいても有効な防御効果をもたらすことが判明した。
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