研究課題/領域番号 |
15K09591
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
瀬尾 幸子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (60401121)
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研究分担者 |
塚崎 邦弘 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (40274659) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | サイトメガロウィルス / 造血幹細胞移植 / 日和見感染症 / ウィルス再活性化 |
研究実績の概要 |
ヒトヘルペスウィルスは初感染後、細胞内で潜伏感染状態となり、宿主の生理状態を反映して、時として再活性化を起こす。細胞やマウスを用いた研究により、ウィルス側の再活性化に必要な遺伝子やシグナル伝達機構などは解明されてきてるが、宿主側の要因に関しては未だ明らかにされていない。造血幹細胞移植後はヘルペスウィルスが高頻度に再活性化を引き起こすことが知られており、時として重篤な感染症を引き起こし、場合によっては致死的となる。このような重篤な感染症を避けるため、移植後定期的に血中ウィルスモニタリングを行っているが、一部の疾患では、血中ウィルス量と感染症発症が相関しないこともあり、血中ウィルスモニタリングだけでは不十分である。そのため、ウィルス再活性化の機序を明らかにすることにより、ウィルス感染症予防につなげたいと考えている。 現時点で解析可能であった17例のサイトメガロウィルス再活性化症例に対して、種々のサイトカインをELISAを用いて解析を行った。その結果、サイトメガロウィルス再活性化時に上昇するサイトカインを同定できたとともに、再活性化直前に上昇して、再活性化時に低下するサイトカインも同定することができた。これらのサイトカインは既報により、移植片対宿主病との関連も示唆されているいるものであるため、今後移植片対宿主病の有無での解析追加が必要であり、現在それを踏まえて、症例の蓄積を行っている。また、今回は再活性化が生じやすい同種移植後症例での検討であったが、移植片対宿主病を生じない自家移植後症例との比較検討が重要であると考えられ、その検体蓄積中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者検体収集が遅れており、それに伴って解析も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
患者検体を積極的に集めるため、造血幹細胞移植を行っている近隣の施設および都内の有数の移植施設に呼びかけ、患者検体収集を図る。現在、PCRやELISAの系は確立しているので、患者検体が集まれば、一度に大量処理が可能であると判断する。また、少量の検体で多数のサイトカイン測定を行えるよう、ELISAからFACSへの切り替えも検討している。本年度前半で患者検体の最終収集を図り、後半で解析を仕上げたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度の研究遂行が遅れているため、H28年度に使用するはずであった研究費を次年度に回す必要がある。
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次年度使用額の使用計画 |
現在蓄積している患者検体を用いて、再活性化直前に有意に変化する因子を同定するため、ウィルス再活性化前後のサイトカイン、ホルモンの変化をELISA・LuminexあるいはFACSを用いて解析を行う予定であり、その検査費用として用いる。また、再活性化した症例に対して、保存検体を用いて、RNA-sequenceを行う予定であり、その試薬費用として必要である。
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