研究実績の概要 |
ヒトヘルペスウィルスに属するサイトメガロウィルス(CMV)およびHuman herpesvirus-6(HHV-6)は初感染後、潜伏感染状態となるが、時に再活性化を起こす。再活性化を引き起こす宿主側要因に関してこれまで明確なデータはなく、本研究では再活性化に影響を及ぼす因子を同定することを目的に研究を行った。 研究対象として、高頻度にCMV, HHV-6の再活性化が起こることが知られている造血幹細胞移植症例を用い、定期的に血液を採取することにより、再活性化前の特徴的なサイトカイン、ホルモンの測定を行った。 結果として、CMV再活性化は移植後中央値30日(5-47日)で生じ、再活性化時のウィルス量は中央値5.85x102 copies/uL (1.2x102 - 1.0x103 copies/uL)であった。HHV-6の再活性化は移植後中央値30日(13-21日)で生じ、再活性化時のウィルス量は中央値8.9x102 copies/uL (1.9x102 - 5.7x103 copies/uL)であった。再活性化した症例としなかった症例に分けて再活性化直前のサイトカインのレベルに差がないか、上記の各種サイトカインおよびホルモンを調べたところ、CMVに関しては、再活性化時にST2(Stimulation-2)が上昇していることが明らかとなった(中央値:165 ng/mL vs 42 ng/mL (再活性化群 vs 非再活性化群)、p-value 0.009)。一方で、LYVE1 (Lymphocyte vessel endothelial receptor1)はCMV再活性化前に低下していることが明らかとなった(中央値:329 ng/mL vs 457 ng/mL (再活性化群 vs 非再活性化群)、p-value 0.025)。HHV-6に関しては明らかな因子を同定することはできなかった。
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