• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

シトリン欠損症におけるCTLN2発症・重篤化に関わる遺伝因子・環境因子の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K09595
研究機関鹿児島大学

研究代表者

佐伯 武頼  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (10056070)

研究分担者 井ノ上 逸朗  国立遺伝学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00192500)
矢崎 正英  信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70372513)
森山 光章  大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20275283)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードシトリン欠損症モデルマウス / ショ糖摂取 / 忌避 / アミノ酸 / 滅菌餌
研究実績の概要

本研究の目的は、シトリン欠損症患者がどのような特性を持つと重症化するかについての解析、および重症化した病態をいかに治療が可能かを解析し、有効な治療法を開発することである。
昨年度には、餌のオートクレーブによる滅菌化の影響(オートクレーブ滅菌をした餌(CE-2)を投与すると成長が遅れ、血中アンモニア濃度が上昇する事)を明らかにするとともに、シトリン欠損症モデルマウスがショ糖、グリセロール、エタノールを自由摂取させると他の対照マウスに比し、摂取量が少なく、忌避していること、さらにこの忌避行動に関連して肝臓中の代謝物の変動が起こること、忌避は肝内グリセロール3-リン酸の上昇とATP (または全アデニンヌクレオチド)濃度の低下が同時に起こった時に起こることを明らかにした。
この現象は、肝グリセロール3-リン酸の減少をもたらすような物質(各種アミノ酸、ピルビン酸ナトリウムなど)投与によってショ糖などの摂取量が増加することを説明した。さらに肝内のグリセロール3-リン酸の上昇を、アラニン、グリシン、グルタミン酸などの多くのアミノ酸の同時投与で抑制できること、さらにショ糖とグリシンを同時投与すると異常に血中アンモニアが上昇することを見出し、これに対して最も有効なアミノ酸の同定を行っている。
現在、さらに20%ショ糖を自由摂取させると、ショ糖の摂取量はマウス個体ごとに異なるが、多く摂取するシトリン欠損症モデルマウスはその間の体重減少が大きいことを見出し、autophagy現象を伴っているのではないか、と検索に取り掛かっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Modifier geneの発見、肝ASSの低下などは現在までのところ、明確な結果は得られていないなど、当初の予定とは若干異なっているが、多くの大変興味ある結果を得ている。以下にそれらを列挙すると、
(1)ショ糖などの摂取抑制(忌避)が肝内代謝物変動と関連づけることが可能となった。
(2)肝臓におけるグリセロール3-リン酸の上昇を指標にして多くの有効なアミノ酸を見出した。
(3)しかし中には同時に血中アンモニアの上昇を起こすアミノ酸も見出し、これらは治療薬としては役に立たないが、高アンモニア血症のモデル作成に有効であることも見出した。
(4)餌(CE-2)のオートクレーブ処理がシトリン欠損症モデルマウスにとって成長障害や高アンモニア血症誘発などの作用を持つことを見出した。
これらは今後の最終目標である治療薬開発に大いに役立つものと考えている。

今後の研究の推進方策

本研究を通じて、今後追求すべきテーマと実験・研究方法が見えてきたので、今後は順調に推進できるものと考えています。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Oral aversion to dietary sugar, ethanol and glycerol correlates with alterations in specific hepatic metabolites in a mouse model of human citrin deficiency.2017

    • 著者名/発表者名
      Saheki T, Inoue K, Ono H, Fujimoto Y, Furuie S, Yamamura KI, Kuroda E, Ushikai M, Asakawa A, Inui A, Eto K, Kadowaki T, Moriyama M, Sinasac DS, Yamamoto T, Furukawa T, Kobayashi K.
    • 雑誌名

      Mol Genet Metab.

      巻: 120 ページ: 306-316

    • DOI

      Mol Genet Metab. 2017 Apr;120(4):306-316.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Circulating tricarboxylic acid cycle metabolite levels in citrin-deficient children with metabolic adaptation, with and without sodium pyruvate treatment.2017

    • 著者名/発表者名
      Nagasaka H, Komatsu H, Inui A, Nakacho M, Morioka I, Tsukahara H, Kaji S, Hirayama S, Miida T, Kondou H, Ihara K, Yagi M, Kizaki Z, Bessho K, Kodama T, Iijima K, Saheki T, Yorifuji T, Honda A.
    • 雑誌名

      Mol Genet Metab.

      巻: 120 ページ: 207-212

    • DOI

      10.1016/j.ymgme.2016.12.011.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chronic hepatitis without hepatic steatosis caused by citrin deficiency in a child.2017

    • 著者名/発表者名
      Inui A, Hashimoto T, Sogo T, Komatsu H, Saheki T, Fujisawa T.
    • 雑誌名

      Hepatol Res.

      巻: 46 ページ: 357-362.

    • DOI

      10.1111/hepr.12559.

    • 査読あり
  • [学会発表] モデルマウスを用いるシトリン欠損症に有効なアミノ酸の探索2016

    • 著者名/発表者名
      佐伯武賴、安田いづみ、黒田英志、瀬戸川芳子、森山光章、山村研一、古川龍彦
    • 学会等名
      第58回日本先天代謝異常学会;第14回アジア先天代謝異常症シンポジウム
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都・新宿区)
    • 年月日
      2016-10-27 – 2016-10-29
  • [学会発表] 滅菌処理した食餌(CE-2)によるシトリン欠損症モデルマウス症状の重症化2016

    • 著者名/発表者名
      佐伯武賴、黒田英志、安田いづみ、 瀬戸川芳子、古川龍彦、森山光章
    • 学会等名
      第58回日本先天代謝異常学会;第14回アジア先天代謝異常症シンポジウム
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都・新宿区)
    • 年月日
      2016-10-27 – 2016-10-29
  • [学会発表] Current State and Treatment of Citrin Deficiency2016

    • 著者名/発表者名
      Takeyori Saheki
    • 学会等名
      Basis and Application of Precision Medicine at Quanzhou
    • 発表場所
      Quanzhou (China)
    • 年月日
      2016-06-03 – 2016-06-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] An Overview of Citrin Deficiency2016

    • 著者名/発表者名
      Takeyori Saheki
    • 学会等名
      Sympsium on Citrin deficiency at Guangzhou
    • 発表場所
      Guangzhou (China)
    • 年月日
      2016-05-14 – 2016-05-14
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] シトリン欠損症―医者も知らない特異な疾患ー2017

    • 著者名/発表者名
      佐伯武賴
    • 総ページ数
      128
    • 出版者
      風詠社

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi