研究実績の概要 |
小児慢性疲労症候群(Childhood Chronic Fatigue Syndrome, CCFS)と不注意優勢型の注意欠陥多動症候群(Attention Deficit Hyperactivity Disorder, ADHD)に共通する中核症状「慢性疲労・不注意・学習意欲および報酬の感受性低下」に関わる脳領域の活動状態を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて検討する。そして、両疾患患児を対象とした各種治療によって変化する注意の制御機能と報酬の感受性に関わる脳活動を手掛かりとし治療中断・終了をも含む数か月単位の治療効果を検証することで、脳科学の活用により小児・思春期CCFS患児とADHD患児の中長期的な治療法を確立することを目的とした。 熊本震災の影響もあり、MRI試験のセットアップに想定以上の時間を要した。その中でもプレリミナリーに数人のCCFS患児とADHD患児において、fMRIを用いて報酬の感受性に関わる脳領域の活動状態を検証したが、健常児に比し差異はみられなかった。本結果は、サンプルサイズが大きく影響したと考察している。昨年度報告したCCFS患児における数週間の治療前後に行動生理学的検査から注意課題成績が改善する症例について、さらに追跡し、本検査を実施したところ改善効果が持続していることもわかった。継続的にフォローアップ検査を続けていくことで治療効果が判定できる可能性を示唆する結果が得られた。
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