研究実績の概要 |
当初はミトコンドリア病患者の線維芽細胞を用いた実験を計画していたが、ミトコンドリア病に起因すると思われる細胞の脆弱性のため継代培養自体が困難であった。また、継代培養を安定的に行うことができなかったために、過酸化水素で酸化ストレスを加える実験やオートファジー阻害剤/促進剤を添加する治療実験の結果も一定せず、信頼性の高い結果を出すことができなかった。 次善策として2018年度より、所属施設である愛知医科大学の加齢医科学研究所に保存されている病理検体と凍結保存検体を用いて、乳酸アシドーシスと脳卒中様エピソードを反復するミトコンドリア脳症(MELAS)における変異ミトコンドリア率やミトコンドリア活性の解析を試みている。遺伝子解析や蛋白解析に必要な試薬や機材を準備は概ね完了し、現在は制限酵素を用いて変異ミトコンドリア遺伝子の割合を解析する予備実験を重ねている状況である。 病理検体と凍結検体を用いた研究を進める過程で特殊なミトコンドリア病(MERRF/MELAS overlap syndrome)の症例報告を作成しNeuropathology(Miyahra H, et al. Neuropathology. 2019 Apr 10. doi: 10.1111/neup.12551.)に掲載された。 今後はMELAS患者の病理検体と凍結検体を用いた変異ミトコンドリア率やミトコンドリア活性の解析を継続し、2019年度中に研究報告と論文投稿することを目標としている。
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