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2017 年度 実施状況報告書

脳神経病変を標的とした成体リソゾーム病の新規遺伝子治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K09604
研究機関日本医科大学

研究代表者

三宅 紀子  日本医科大学, 医学部, その他 (00421206)

研究分担者 三宅 弘一  日本医科大学, 医学部, 講師 (90267211)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワードリソゾーム病 / 異染性白質ジストロフィー / アデノ随伴ウイルスベクター / 血液脳関門
研究実績の概要

リソゾーム酵素欠損症では、一般的に酵素補充療法の有効性が期待できるが神経変性を伴う疾患に対しては血液脳関門(BBB)の存在が大きな障害となり、有効な治療戦略が立てられていない。本研究では脳全体の広範な神経変性を伴う、異染性白質ジストロフィー(MLD)病をモデルとして、臨床応用を目的とし、非侵襲的かつ安全で、脳神経組織に対する長期の酵素補充療法が出来る革新的な治療法の開発を目的とする。前年度にBBBを通過可能なself-complementary AAV (scAAV)ベクターに治療蛋白を搭載したウイルスをMLDモデルマウスに静脈注射し、BBBを通過し脳内での発現を確認した。今年度はMLDモデルマウスの長期治療効果判定を行った。具体的には、血中の治療蛋白をELISAにより測定、Balance Beamテストによる行動実験、Alcian Blue染色によるスルファチドの蓄積の確認、Thin-layer chromatography assayによるスルファチドの定量、各臓器での治療蛋白発現の定量、抗体染色による神経細胞での治療蛋白の発現を確認した。scAAVベクターを使用することで、長期(1年3ヶ月)に治療蛋白が脳内で発現する事を確認し、脳内での蓄積物質も優位に抑制されていた。行動実験においても優位に改善が認められ、成体マウスで神経症状を抑えることに成功した。このことより、scAAVベクターを用いることで成体マウスにおける、神経症状を伴う疾患の治療に有用であると示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

成体MLDモデルマウスに治療用ベクターを投与した。scAAVベクターに我々が使用しているCAGプロモーターを使用することで、BBBを通過し長期(1年3ヶ月)に治療蛋白が脳内で発現する事を確認し、脳内での蓄積物質も優位に抑制されていた。行動実験においても優位に改善が認められ、成体マウスで神経症状を抑えることに成功した。しかしながら最終的な安全性までの確認をすることが出来なかった。安全性の確認は当初の目的でもあり、解析必須と考える。今後、すでに採取している血清等の解析をすすめたい。

今後の研究の推進方策

ベクター投与後の安全性の確認は必須と考えられる。近年、AAVベクターを用いた実験において毒性が出たという報告(論文)が出たこともあり、その論文に基づき、すでに採取されている血清、組織等の生化学検査等慎重な解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

実験が順調に進まず、最終的にscAAVベクターを全身投与後の安全性試験まで確認することが出来なかった。すでに採取されている血清等を用いた、生化学検査、組織等での安全性の確認を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Improved Intravitreal AAV-Mediated Inner Retinal Gene Transduction after Surgical Internal Limiting Membrane Peeling in Cynomolgus Monkeys2017

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Kazuhisa、Igarashi Tsutomu、Miyake Koichi、Kobayashi Maika、Yaguchi Chiemi、Iijima Osamu、Yamazaki Yoshiyuki、Katakai Yuko、Miyake Noriko、Kameya Shuhei、Shimada Takashi、Takahashi Hiroshi、Okada Takashi
    • 雑誌名

      Molecular Therapy

      巻: 25 ページ: 296~302

    • DOI

      10.1016/j.ymthe.2016.10.008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] D816V mutation in the KIT gene activation loop has greater cell-proliferative and anti-apoptotic ability than N822K mutation in core-binding factor acute myeloid leukemia2017

    • 著者名/発表者名
      Omori Ikuko、Yamaguchi Hiroki、Miyake Koichi、Miyake Noriko、Kitano Tomoaki、Inokuchi Koiti
    • 雑誌名

      Experimental Hematology

      巻: 52 ページ: 56~64.e4

    • DOI

      10.1016/j.exphem.2017.05.003

    • 査読あり
  • [雑誌論文] MicroRNA cluster miR-17-92 regulates multiple functionally related voltage-gated potassium channels in chronic neuropathic pain2017

    • 著者名/発表者名
      Sakai Atsushi、Saitow Fumihito、Maruyama Motoyo、Miyake Noriko、Miyake Koichi、Shimada Takashi、Okada Takashi、Suzuki Hidenori
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 8 ページ: 16079~16079

    • DOI

      10.1038/ncomms16079

    • 査読あり
  • [学会発表] Why are scAAV9 vectors able to transduce the CNS but not ssAAV9? ; The difference between the ssAAV9 and scAAV9 vector in transduction of CNS by intravenous injection.2017

    • 著者名/発表者名
      Noriko Miyake, Koichi Miyake, Motoko Yamamoto, Takashi Shimada, Takashi Okada
    • 学会等名
      The 23th Annual Meeting of Japan Society of Gene Therapy
  • [学会発表] Why are scAAV9 vectors able to pass through the BBB but not ssAAV9? ; The difference between the ssAAV9 and scAAV9 vector in transduction of CNS by intravenous injection.2017

    • 著者名/発表者名
      Noriko Miyake, Koichi Miyake, Motoko Yamamoto, Takashi Shimada, Takashi Okada
    • 学会等名
      20th Annual Meeting of the American Society of Gene & Cell Therapy
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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