研究課題/領域番号 |
15K09609
|
研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
中村 みほ 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 障害システム研究部, 客員研究者 (70291945)
|
研究分担者 |
稲垣 真澄 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, 部長 (70203198)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | ウィリアムズ症候群 / 共同注意 / 言語発達 |
研究実績の概要 |
ウィリアムズ症候群を持つ患児にみられる共同注意の遅れの実態とそのメカニズムについて検討することにより、ヒト乳児における社会性の認知の発達が言語発達にあたえる影響を検討することを本研究での第一の目的としている。 当初の研究計画として、まず、ウィリアムズ症候群乳幼児と定型発達乳児において、共同注意を含む社会性認知の発達をチェックリストにより評価し、定型発達児との比較の元、ウィリアムズ症候群患児で 共同注意の発達が遅れているか、それが始語の出現と関連するか否かを確認することを計画した。この点に関しては、ウィリアムズ症候群における共同注意の発達に遅れがある傾向をみとめ、さらに、それが始語出現時期の遅れに関連する傾向があることが確認されつつある。研究参加者の増加に伴い、最終的な統計処理を実施のうえ、成果発表の予定である。 共同注意のメカニズムの解明に関連しては、注意シフトの異常性、特に「顔に対する注意をはずす(顔からの注意解放)能力」の発達異常の観点から客観的に検討することを試みてきたが、現時点では解析可能なデータの集積に至っておらず、実施方法の見直しを含め、再検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ウィリアムズ症候群の共同注意の発達の遅れと語彙の獲得に関しては一定の成果が得られたが、新規研究参加者は当初の予定より少なく、さらなる研究期間を要した。 また、被験者の注意を視線追跡装置により客観的に検討し、注意の解放と共同注意の関連を明らかにする点に関しては、進捗状況は思わしくない。当該実験においては、いったんあるものに向けた注意をどのように解放するかを検討する必要があるが、ウィリアムズ症候群患児らにおいては注意の転動が激しく、あるものにいったん安定した注意を向けることが、実験課題以外の外因(周囲の雑音などー研究実施の建物周辺の工事や周辺施設業務の想定外の作業動線の影響をうける環境にあったー)による影響もあり困難な場合が多く、安定した正確な計測を実施することが困難であった。現在、実施方法について再検討中である。
|
今後の研究の推進方策 |
共同注意と注意の解放との関連を視線追跡装置を用いて客観的に計測を試みるうえで、注意の転動の影響を受けにくい方法、注意に影響する外因を避ける具体的方法を検討する。 実施課題の見直しを図り、課題の簡略化などを検討するとともに、場合により、実施場所の変更も考慮する。 ウィリアムズ症候群乳幼児において、共同注意を含む社会性認知の発達と語彙発達を調査する検討は引き続き実施し、被験者数を極力増やすことを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画最終年度に研究参加した被験者がおり、データ収集のために研究期間の延長が必要となった。また、当初計画した視線追跡装置を用いた共同注意の発達の実験のデータ収集が計画通りに進まず、実験計画の再検討が必要となった。
|